社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

いつも彼らはどこかに

世間の人々は、そんなに気軽にお墓参りに行くものなんだろうか。
「誰某から場所教えて貰ったから、みんなで行こう」ってな感じで。
もっと特別というかパーソナルな場所だと思ってた。

「いつも彼らはどこかに」(小川洋子新潮文庫)読んだ。

こないだ有隣堂に行った時に買った。
sociologicls.hatenadiary.jp
馬や兎等、動物・虫が登場する物語達。
羽田空港王子動物園を想像したりでもちょっと違うような気がしたり、抑も日本なのか何処の国なのか解らない。
解らないけど、”どこか”の街で起こった話。
フジのライブの日に持って行って読んでたんだが、ちょっぴり変てこで時々心をぎゅっと掴んで持っていっちゃうのが相通じるような気がして、丁度良かったと思う。
どの物語にも、かなしみがちらりちらりと見えるような、でも「ああよかったなぁ」という要素も。

特に惹かれた話
ハモニカ
何か特別な出来事が起こる時に当日迄の日にちをカウントする日めくりカレンダーを捲り続ける朝食専門の食堂の男とオリンピックの話。
カレンダーのデザインが、その村のシンボルであるハモニカ兎なんだが、既に絶滅している。
何処か退廃的な感じも漂ってて、オリンピックは本当に開催されるのか、村で開催されるのは果たして何の競技なのか?
(アレ、なんですけども多分)
ハモニカ兎カレンダーの行く末を思うと胸が痛い。
・愛犬ベネディクト
盲腸で入院中の妹の代わりに、ブロンズのミニチュアの犬・ベネディクトの面倒を見る兄の話。
ベネディクトも不安だったのかもしれない、いつもの生活じゃないしご主人居ないし。
チーター準備中
動物園の売店で働く、「hを手放した」女の話。
チーターの綴りが「Cheetah」で「h」が潜んでいた事に気づき、”私”にとって特別な動物となる。
動物園での出来事や”私”が考える事は細かく書かれている。
”私”に何が起こったかが直接書かれるのではなく、其の周辺が描かれる事でふわあっと漂ってくる。
チーターの別れは想像してしまっていたけど、いざラストに突きつけられると切ない。