社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

金星の蟲

気持ちを一旦書き出してしまえば楽になると思った、全然そんな事は無かった。

「金星の蟲」(酉島伝法/ハヤカワ文庫JA)読んだ。

改題前の「オクトローグ」の方が言葉の響きとして好きだなー、でも表紙にデザインが残っていてめっちゃかっこいい。
8つの物語だからオクトローグ?
前にも書いたけど、表紙手掛けたねじれさんはツイのプロフに「バックホーンがすき」って書いておられるので、其処らへんのTHE BACK HORN好き好きな皆さんもお読みになると良い。
「皆勤の徒」よりは読み易い。
sociologicls.hatenadiary.jp

金星の蟲

刷版工場で働く男に起こる話、労働小説。
どうでもいいが此れ読んでる最中に憚り行ったけどうんこ出なくて、「なんちゅうタイミングで」って気分になった。
・・・って憚りから戻ってきて続き読んでたら、急激にぬるん、と世界が。
大丈夫、金星サナダムシは出してない、歯も無事だ。未だ自分は人の儘の筈。
「皆勤の徒」のどんより感がある、というか「皆勤の徒」的な世界に変容していく過程を見てるみたいな話。

環刑錮

ミミズみたいな異形に変えられる刑を受けた人の話。
前世がミミズで記憶が残ってる人が読んだら「わかります」って言いそうな。どうかな。
看守ももしかして何らかの刑でやってはるんかしらん。お互いに地獄過ぎる。

痕の祀り

ウルトラマンを違う角度から、倒された怪獣の後片付けをする人達の話。
此の“万状顕現体”、何の怪獣だろう。
息子からしたらお父さんはウルトラマンなんだろうな、「そうだったらいいなぁ」というだけではなく、ヒーローという有り様として。

”幽霊”が地球に飛び降りて身幹を得ていく。
美しい。
地球に飛び降りたモノ同士の会話を”聴喋結び”と表現するとか。
言葉によって少しずつ蘇る、”言葉の組紐作り”がいいなぁ、と思って読んだ。
喜びがあるような気がした、気の所為かな。

ブロッコリー神殿

植物エロ、とは。何故そんな依頼を・・・。
読んで行くと「ああ、確かに」である。
綺麗なCOCKROACHだ、と思ってしまった。

www.youtube.com
命のぶつかり合い(婉曲表現)
違うか。

堕天の塔

BLAME!」アンソロジーで読んでた。
思ってたよりたっぷり落ちてたんだな、そして着地してたんだな、と。
妙にほっとしたのは何故だろう。

彗星狩り

なんかかわいい。ほのぼのする。
空見上げながら「ミクグも彗星狩りに慣れて来た頃だろうか」等と考えたり。
解題で使う漢字について触れられているが、此の世界を的確に描き、かつワシら人間に伝わるようにしようとしたら、宇宙空間に無い漢字でも良いように思われる。

クリプトプラズム

ブロッコリー百景」と繋がりがありつつ、「橡」の其の先の物語かな、と思ったけど、どうだろう。
此の短篇集の全ての物語を貫いた先にあるのかもしれない。

幻視百景

抄録という事で。
いずれはフルバージョンも読めたら、観られたら良いな。
グロそうで結構可愛い。

読んで思った事をつらつら書いていて思ったけど、恐らく酉島さんが「こういう事を書こう」「此の作品はこういう意図がある」とお書き/お描きになったモノを全く読み取れてない、わたしは。
酉島さんはどうだか存じ上げないが、作家さんで物語の構造を見ろとか読者が意図を読み取らないのを不満に思ってらっしゃる方が時々いらっしゃるやないですか。
そういう意味では非常に申し訳ない読み方をしていると思う。
ごめんなさい。
只・・・凄く良い読書体験をしたと思っている。
何処にも無いんだもん、「金星の蟲」という本の中にしか。
面白いのよ、読み進めて自分の中で言語→感覚と変換する中で出会う存在・モノが美しくて。
感想として残すのが追い付かなかった。
何度でも読み返せば良いし、そうするべき本だ、だけどそうすると形が変わってしまう。
読みながら即座にログ吐けたら良かったのにな。
そしたら何が出て来たんだろうね。

どうでもいいニュース:
読む脳にパワーが必要だったんでもしかして体重落とせた?と思ったけど、そうでもなかった。
只、読んでる時期は血圧が下がってた。
血圧下げたい時に読み返そう。