社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

皆勤の徒

友人が教え子に小説を貸したところ、「他にも紹介して欲しい」と頼まれたそうである。
・ファンタジーじゃなくて現実世界、身近な舞台の話で、主人公も自分と近い年齢希望
・短編よりは長編、でも長すぎない作品
一緒になって「どんなんかな?」と考えた。案外難しい。
案外”長すぎない長編”というのが難しい。連作短編はどうなんかな。
読む時は「もし姪にお勧め聞かれる事があったら、此れお勧め出来るかな」とか考えるのだけど。
友人の友人の方々がどんな本上げはったんか気になる。
少なくとも↓ではない事だけは確実であろう。

「皆勤の徒」(酉島伝法/創元SF文庫)読んだ。

皆勤の徒 (創元SF文庫)

皆勤の徒 (創元SF文庫)

わけが
わか
らん

別途「隔世遺傳」という用語解説的なモノはある。

隔世遺傳 『皆勤の徒』設定資料集

隔世遺傳 『皆勤の徒』設定資料集

(「隔世遺傳」は作中にも出てきたな)
あと現実世界と近い言葉・漢字、「製臓物」とあると作っているモノが何となく解るし、「巳針」とあると「あぁ縫うモノなんだな」と解る。
でもやっぱり解らん。
言葉・漢字が微妙に違うのが却って感覚をねじねじとずらされて引きずり込まれる。
「考えるな、感じろ」方式でエッセンスをチューチューする感じで読んでる。
それでも、なんや解らんけど、おもろい。

1つ目の「皆勤の徒」はめっちゃ未来か別世界の謎生物の従業者が社長に困らされながら淡淡と働く話なんだろ?
と思ったがちょっと違うようである。
ぐにょんぐにょんうにょんうにょんしている。
で、「解説」見ると最終話へと時代を遡ってく感じらしい。
割とガチなSFである。ふむ。
で2つ目「洞の街」までは謎生物的な人間(?)や生まれ変わり、埜衾の話で何となく繋がってるんだなぁと思う、3つ目「泥海の浮き城」は昆虫人間みたいなんが依頼で謎を追ってくうちに色々解る話・・・?
「洞の街」も「泥海の浮き城」の世界も、或る意味多様性が認められてる感じである。其の上で見下したり仲違いしたり。
此処までで全体の2/3くらい。
ラスト「百々似隊商」で色々明らかにな・・・るんか、此れ。
まだ人間が人間の姿留めてる頃の話。久内が暮らす世界と百々似の隊商が養生塁を巡る世界の話。
宇毬の成長を描い・・・てるような気もする。視点もふわふわ世界に滲んでゆくような。

再び解説読むと・・・すげえなSFのすごい人は。
そういう話だったのか。
凡人はあと何回読めば、「そういう話だったのか」と読み取れるのだろうか、ってなってる。
何をどう読めば、あの大森さんの解説にある物語になるんだ。
(というか「隔世遺傳」とあの解説読みながら本編読んでたんだが、「え、嘘やん?そうなん?」ってなってた)
バカ過ぎて訳わかめなのは自分だけなんだろうか、と焦って色々検索したら、まぁ其れでもよかったようである。

何はともあれ、ももんじもふもふ。
「どうだった?」と聞かれたら「ももんじもふもふ」って言うだろう、きっと。
「洞の街」の時グロいわ・・・と思ったけど「百々似隊商」読み終わる頃には可愛い、もふもふってなる。
あと読みながら内心カズ絶叫してる。

という感じで全く訳が解らない、だけど、というかなのにというか、面白い。
不思議と「洞の街」以降は読む手が止まらなかった。つるつる読んでた。
(気絶するからコーヒーは普段の2倍キメたけど・・・)
何でなんやろね。
実は“生活”を描いておられるのかもしれない。
何でこうなったのかは解らない、だが日々暮らす様子、其処で起こる出来事を描く事で世界がどうなってしまったのか、が浮かび上がる。
(今迄読んだ「るん(笑)」「奏で手のヌフレツン」「お務め」もそんなかんじ)
色んな人の生活、あなたの知らない世界も、覗いてみると面白いもんである。
だから面白いのかも。

因みに「隔世遺傳」、電書なもんでリンクですぱすぱ飛んでいける。
これだけで1日以上楽しめるんじゃないか。
読みやすいです(笑)。

ところで「ラザニア」の項に「とてもおいしい」とあって力抜けた。「振る舞ってくれるそうだ」はラザニアか。
ラザニアも何かの象徴だったりして。

どうでもいいニュース:
ひょんなきっかけ(Twitterで流れてきた)で酉島さん作品のグッズがあるのを知った。
suzuri.jp
なかなかグロくてバンド物販グッズっぽさもある。
外回りのTシャツは黒だとメタルTシャツっぽい。
ライブに着て行って違和感無い。
・・・等と楽しんでいた影響で、今パソ子の広告が酉島さんだらけである。
なまじっかその前に見てたうさぎ絵の方のグッズも表示されるもんで、うさうさと百々似と外回りと社長というマジ混沌。