社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

うるはしみにくし あなたのともだち

2基あるエレベーターを待つ時、片方の前が空いてるからそっちで待ってて、そっちが先に来たから乗ろうとしたら、もう片方の前に居たらしい人がずーっと「ママの方が先だったのに」って子供に言っていた。
乗ってからもずっと「ママの方が先~」で、子供は奇声を発していた。
乗る前からずっと「ママの方が先~」だった、そして「じゃあ先に乗るのかな?」と様子見てたが先に乗ろうとする気配も子供急かそうとする気配も無かったし、手間暇掛かるなら先に乗って開ボタン押しておこうと思った(マナーとしては下っ端が先に乗って目上に対してボタン操作をするのが正しかった筈)、何よりそんなに「ママの方が先」なら「私が先だったんですけど!」と仰って頂きたかった。
幾ら何でも「お前等に意思表示しないけど、ワタシのお気持ちを察しろ」は無茶である。

まくらが長くなった。

「うるはしみにくし あなたのともだち」(澤村伊智/双葉文庫)読んだ。

都立四つ角高校三年二組のスクールカーストトップで美人の女子が自殺した。
”最後の対面”は両親が拒んでいる。
そしてナンバー2的な女子は授業中に急に噴き出した面皰が破裂し、他の女子も次次と・・・。
此の高校で起こった飛び降り自殺、自殺した女子が残した”ユアフレンド”なるおまじない、其れは「人の見た目を変える」というものだった。
果たして誰が何故おまじないをしているのか、止める事は出来るのか、見た目が変わってしまった女子は元に戻るのか。
面皰潰すと大変だけど妙にスッキリするよね☆〜(ゝ。∂)
という話ではない。
・・・って茶化したくなる位がっつりホラー、そして「確かにホラーミステリー」だわ、な展開。
女子の顔が変わっちゃう一部始終がグロい、そうなってしまっても受け入れられるのか。
あと女子の嫉妬やらルッキズムによって蔑まれる姿やら・・・精神的にキツい。
一人一人の事情に救いが無さ過ぎる。
そして誰を信じてよいのか解らない、次に醜くされるのは自分かもしれないのだ。
先生だって”女子”だし。
詳細は書かれてないけど、トップ女子にも悩みはあったんだろうな。
勝手に期待して勝手に失望されて、でも其れを愚痴るとこが無い。

で、文章の端端に違和感がある。気の所為レベルではあるが。
最後らへんまで読んで「あー」ってなった。
”おまじない”してたのは、名前すら挙がらない子だと思ってたが、果たして。
「あなたのともだち」というのはおまじないの文言にあるけれど、境遇が近いのに階層が違い過ぎて果てしなく遠い二人の事でもあるのかな。
そしておまじないは”御呪い”であり、呪いとしても機能してたんだな、と。
其れは憎い奴を貶める呪いじゃなく、掛ける側の受ける呪い。
”おまじない”のうちは解き放たれる、でも其れが”呪い”になってしまう。
呪いって掛ける側にも掛けられる側にも作用するけど、掛ける側はずーっと、だもんな・・・。
果たして自殺して逃れられるのか、どうなんだろうな。

読み終わって暫くしたら、切なくなってきちゃった。

其れにしても、男子狡い。
散散ルッキズム全開で好き放題言ってるけどさ、あんたらは”女子”じゃないから、ユアフレンドに怯えなくていいじゃんよ。
万が一映画化して続編出るってなったら男子も巻き込まれやがれってんだ。
先生達も「励ます会」つって一連の事件をネタに息抜きしたかっただけじゃねーかっていう。