社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

流浪地球

暖かくなってきて「花粉が本格飛散!早めに対策しよう!」ってTVでやってるけど。
こちとら年末年始からズビズビなんだぜ・・・(泣)

「流浪地球」(劉慈欣、訳:大森望・古市雅子/角川文庫)読んだ。

どの話もスケールでかい!
「ミクロ紀元」とかちっちゃいけど、其れも逆に言えばでかいんである。
其の「ミクロ紀元」の最高執行官も、「呑食者」のエリダヌスの少女もめっちゃアニメっぽい。
影響受けてはるのか、趣味なのか、そういう需要があるのか・・・。

・流浪地球
人類が太陽系で生き続けられないから、プロキシ・ケンタウリ目指して地球ごとすっごいエンジン付けて飛んでいくよ・・・という話。
太陽系出ちゃう事で他の惑星・衛星とのバランス崩さないんだろうか。
んなこたぁ知るか、人類存続の危機やで。
飛ぶ準備をし、実際に飛んでいく地球がどんな変化を起こしていくのか、社会はどうなってっちゃうのか、そんな地球で生きていく少年の半生を通して描かれる。
見たんかい!という位生生しい。
宇宙船で行ったらええやんか派、陰謀論的な事言い出す奴も出てくる、でも飛んじゃったもんはしょうがないもんね。
でもまさかそうなるとは、其れでも人類は生きていく。
ところで「流浪地球」も映画版でがっつり改変されちゃったそうである・・・。
・ミクロ紀元
「流浪地球」とは逆に太陽系を出て地球に返って来た”先駆者”の話。
帰って来てみれば、全宇宙でたったひとりの人間だった、という。
しかし・・・其の発想は無かった。
うーむ。
訳者あとがきで此の短篇集の各作品について誰が推してた/気に入っているかに触れられているが、まさかの筒井康隆っていう・・・わたしにはわからん。
・呑食者
地球に”呑食者”がやってきて星ごと資源奪い取ってポイしてしまう!
という事で地球vs呑食者の闘い。
裏をかいたり土壇場でやり返したり。
そして文明とは。
「文明とは呑食だ。止まらず食いつづけること。止まらず拡張し、膨張すること。それ以外のすべては二の次だ。」(p.144)とある。
どこぞの独裁者共もそーいう考え方なんスかね。
kadobun.jp
そういう”クレバー”さが無いと”科幻作家”として生きていけないんだろうな、中国では。
元帥の最後の選択やエリダヌス文明の存在がせめてもの抵抗みたいなんだったら良いなと思ったが、其れは多分わたしの都合の良い解釈だろう。
・呪い5.0
「呪い」1.0と呼ばれるコンピュータ・ウイルスが色々あって人を死なせていって太原市は大変だ!という話。
1.0だって個人情報をネットに晒してなかなかに殺傷力が高いんだが、バージョン上がる毎にガチ殺傷力を持って行く、という。
むちゃくちゃだッ!
作者出てくるし!(其れも実は意味があるらしー)
筒井康隆っぽいドタバタむちゃくちゃ感と勢いがある。
・中国太陽
日照り続きの村を出て都会に出て高層建築の清掃をし、人との出会いを通して宇宙へ。
・・・え、宇宙?其処迄行くんかい!
夢がありますな。
作中に出てくる”中国太陽”って、北京オリンピックの時にお天気操作する用に使おうとしてたやつかな。
・山
登山の事故で仲間を犠牲にし、現在は山から離れている元・登山家が、海を泳いで登って宇宙人と会話する話。
一体何を言っているんだと思うかもしれないが、実際そうなんだから仕方ない。
物理的にはそうでもないけど、感覚的には長いヨー

若し中国人として”クレバー”じゃなきゃいけない、という縛りが無かったら、どんなワンダーをお書きになったのだろうか。
逆に”クレバー”じゃなきゃゲフンゲフン、という縛りがあるからワンダーで在り続けられるのか。

どうでもいいニュース:
内容の重厚さはさておき、厚み的には「消費税3%時代だったら500円でお釣り来てたよなぁ(懐)」である。
分冊しなくても良かったんじゃないかな、「老神介護」と合わせてみても京極夏彦よりは薄い。