社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

NOVA 2023年夏号

学生時代バイトしてた本屋の大きい方、文庫コーナーが男性作家/女性作家で分けられていた。
他のバイトの子と「北村薫は男女どっちか解りにくくないですか」「高村薫はどーなんですか」等と文庫担当者を質問攻めにしてたんだが、其処は問題なかった。
男女別とは違う所に推理小説コーナーがあったからである。
時代小説も別だったんで、じゃあ宮部みゆきは推理か時代かどっちやねん!みたいな話もしてたと思うが、担当者は何て言ってたっけ。

「NOVA 2023年夏号」(大森望・責任編集/河出文庫)読んだ。

もう夏なのか!
女性作家オンリーのSFアンソロジー
読む側は男性ばかりでも女性ばかりでもあんまり関係なくて、とはいえ時代の流れとか、なんかそんなような感じで女性作家だけで編んだSFアンソロジーも作られて良いといえば良い。
で、ふと思ったんだけど、性別を詳らかにしたくない作家はどうなるんだろう?
セクシャリティジェンダーも女性だが、”女性”として扱われたくない、とか。
多様性が尊ばれるなら、そういう有り様も考慮が必要なんではないかと。
今回のNOVAにあんまり関係ないけど。
其れよりも今回は”SF”という縛りが緩緩なように思えた、其処ら辺が気になった。
SFって自由度高いとは思っているが、其れを踏まえても「SFなん?」てのが幾つか。
其れは女性・男性・其の他・答えたくない何れであっても同じ感想を持っただろう。
以前、池澤さんが日本SF作家クラブ会長に就任された頃にぐだぐだ言うてるおっさんおったやん、ああいう人がケチ付けてそうだなー、と思って。
ifが自由に書かれておればOKか。
面白かったら其れでヨシ!
とはいえ敢えてどの作品だったかは言わないが、SF的なキーワードを無理に使ってる感じがする作品があってちょっと残念だった。
そういうの使わなくてもSF的かつ其の作家さん独特の物語になったんちゃうんかな、と。
其の人だったらもっとぶッ飛んだSF書きはるんちゃうん、もっとワンダーなのに、言葉で変な枠嵌めちゃってあらら・・・というか。

面白かった話等。
・あるいは志望でいっぱいの宇宙/池澤春菜
わたしもお願いしたい・・・と思ったけど研究所ハードそう。
検査だけでも痩せそうではないか、痩せないから宇宙巻き込む事になるんだが。
毎度思うけど、池澤さんの文章可愛いよなぁ。
セミの鳴く五月の部屋/高山羽根子
最早“高山羽根子”というジャンルなんだろうな、SFとか純文学とか全部混ぜて化学変化させたような。
しかしいきなり訪ねてきて「五月にセミは鳴きますか?」って言われても知るかー!だよなぁ。
訪ねてくる側にとっては、其の時どきのスズの言動で結果が変わっちゃうのかも、だけどそんなん知るかー!だけど。
ちゃんと対応するのは偉いなぁと思う。
異世界転生してみたら/菅浩江
確かに異世界転生した先での言葉通じるんかいな?
ジャガイモやシャワーの有無よりも先ずそっちが気になりますわな。
言葉で成り上がっていくのか・・・ってえええっ!
楽しそうだから、まぁいいか。

途中、吉羽善「犬魂の箱」、勝山海百合「ビスケット・エフェクト」、溝渕久美子「プレーリードッグタウンの奇跡」と優しい!かわいー!な和み枠が続いて・・・はないけどだいたい近い位置に収録されてて良かった。
「ビスケット・エフェクト」はシリーズ化しないかしらん、双方共。
其れだけに最後の2作が一層えぐくて・・・狙いだとしたら恐ろしい(笑)。