社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

砂の果実 80年代歌謡曲黄金時代疾走の日々

最近ずっと短期記憶が駄目になってるというか、例えば本を読んでいて「わあ!」「エモい!」と思った事が消える。
「後でちょっとやっとこ」という事を忘れて「何するんだっけ?」となる。
脳みそがやられてるんだろうな・・・流行りのアレの後遺症だけver.だったらどうしよう。
日常生活にはあんまり支障が無いので、物理的には大丈夫でメンタル的な問題なんだろう。
でも読んだ本が如何に面白かったか、心動かされたかを書けないのはしんどい。

「砂の果実 80年代歌謡曲黄金時代疾走の日々」(売野雅勇河出文庫)読んだ。

コピーライターから、「作詞をしてみませんか?」と依頼があって歌詞をお書きになられたそうだ。
そして作詞家に。
「少女A」やチェッカーズの初期、坂本龍一中谷美紀の楽曲の歌詞を書く過程について語られていて貴重である。
自分の感情を表現するのとは違う、其のアーティストやメロディから想起されたイメージ・物語から生まれる歌詞。
歌う本人が生み出す言葉を詞にしていくのとは勝手が違うのかもしれないが、生みの苦しみや上手く曲と合わさった時の喜びは相通じるものがあるんだろう。

改めて思い知る坂本龍一の凄さ。
GEISHA GIRLSの「少年」が最初だったようだが、少し話をして「メロディを聴いて感じたまま、本能で書いてください」とオファーされて作詞されたそうである。
そして坂本龍一の「美貌の青空」、中谷美紀の一連の曲達の作詞へ。
作詞者が自由に生み出した言葉だけど、其れは曲が「求める」言葉だったんだろうと思った。
其の位強いメロディ。
そんなメロディの力に拮抗する売野さんの言葉・アイデアの強さ。
そりゃあ名曲生まれますわな。
そういえば教授御本人の曲の詞は「美貌の青空」だけのようだ、中谷美紀は沢山ある。
教授が歌うんじゃない、女優でもある彼女が歌うから売野さんにオファーしはったんかな。

幸宏さんの話も結構出てくる。
作詞家になる前からの付き合いがあったそうだ。
そして幸宏さんの矢沢永吉評「あの人と演ると乗りが変わっちゃうんだよ」って凄い。
大瀧詠一山下達郎のエピソードも面白い。

色んな人との繋がりから歌詞が生まれ、次のオファーへと繋がり、また新しい歌が生まれる。
文化って、人と人の間に生まれるんだ。

どうでもいいニュース:
「The Other Side of Love」は軽音時代に演ってた。
ボーカルのアイデアで最後のサビ後のとこだけ「砂の果実」の「僕のこと誇りにしてるって~」に替えて歌ってた。