社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

暁天の星 鬼籍通覧

「暁天の星 鬼籍通覧」(椹野道流講談社文庫)読んだ。

大雨の中保護されたちびすけちゃんが切欠でTwitterを拝見していた方の作品、一度読んでみたかった。
こないだ風文庫行った時に「芦屋ゆかりの作家」的なコーナーがあって、其処で見かけて購入。
なので風文庫で入れて頂いた袋をブックカバーにした。


貼り合わせの所には同じく風文庫で買ったマステを。

法医学の話だけど、合間合間にご飯を食べながら語るシーンがあるので、美味しい食べ物マステは丁度良かったかもしれない。

以下若干ネタバレあるよ。



大阪O大学法医学教室に持ち込まれる遺体を解剖して何が起こったのか・・・事件性の有無、多重事故のどちらが直接の死因になったのかを追っていく。
本職がお書きになっているので、司法解剖の一部始終がリアルである・・・。
そういう連作短編なのかなーと思ったら、不穏な展開に。
別々の事故なのに、事故が起こった経緯が似ている。
法医学教室を飛び出して調べた真実は・・・まさかな。
読みながら「一連の事故はこういう事なんだろう」と想像していたが、其れじゃあまるでホラーではないか。
・・・という。
正に都筑先生の「すべての理屈を飛び越えた想像が、実は真実にいちばん近い。」だった。
ミステリーなようでファンタジー・ホラーっぽい展開って、普段だったら「都合よくね?」と思ってしまいそうなのだが、今作では全くそうは思わなかった。
何が違うんだろうな。
筆舌に尽くしがたい酷い目に遭った子が、少しでも報われて欲しかったからだろうか。
「どうして今さら」だとしても。
其れだって立場を変えたら随分酷いんだけど・・・せめて、という。

とはいえエモーショナル過ぎない。
司法解剖の時点では、安易に「こういう事だろう」なんて結論を出さない、其処は目の前の御遺体の状態から解る事だけを結論とする。
物語として、其の続きがあるというだけで。
其のクールさが本職だよなー、としみじみ思った。

どうでもいいニュース:
もし2時間サスペンスドラマ化したら、大幅脚色して峯子は山村紅葉だろうか、と考えてしまった。