社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

これやこの サンキュータツオ随筆集

職場ですっげー咳き込んでる人が居た。
お大事にしやがれっつうかそういう咳が出てる間位マスクしなよ。
こっちは流行りのモン貰ってる場合じゃねェし爆弾抱えてる人も多いのよ、此処。

「これやこの サンキュータツオ随筆集」(サンキュータツオ/角川文庫)読んだ。

エッセイ、随筆集というには重厚な。
表題「これやこの」は初心者向けの落語会「渋谷らくご」の始まり・発展と共に、継続して出て頂ける大御所、柳家喜多八師匠、喜多八師匠と旧知の間柄である立川左団次師匠の生き様を追ったドキュメンタリーである。
読んでいて手に汗握る。
御姿拝見した事無い筈のお二人が目に浮かぶ。
「これやこの」とは喜多八師匠の訃報を受けて左団次師匠がツイートで書かれていた歌から、である。
「これやこの 行くも帰るも別れては しるもしらぬも逢坂の関」
楽屋という”逢坂の関”で出会って別れた、お前の事は忘れないよ、との事である。
そして其のツイにはもう一句書かれている。
「滝の音は絶えて久しくなりぬれど 名こそ流れて なほきこえけれ」
サンキュータツオ氏が「これやこの」を書かれたのは、お二人の事を書き、語り続ける事で「名こそ流れて なほきこえけれ」と記憶を残す為。
こうやって書き残してくださるのが有難い。
「これやこの」読まなかったら、お二人の師匠の事を知る事は無かっただろうから。
落語聴きたかった、観たかったな。。。

落語家さんの会話って普段から面白いわーって思うけど、其れは相手に気を遣わせない、という”気遣い”なんである。
江戸落語については談四楼さんの本を読んで少し知っていた、其の日の演目はお客さんの様子や他の方の演目を踏まえて其の日に決める、等。
トリがあがりやすいように、という演目の選び方もあるのだな。
其れにしても、「笑点」直近の新メンバー一之輔さんって凄い人だったんだな・・・。

そんな感じで、心がぎゅうっとする内容と文章が続く。
全体的に“死”の話が多い。
今回お亡くなりになるのは此の方か、と思いながら読んでしまう位。
だからだろうか、平気なようで読むのがしんどかった、今の自分にはまだちょっと重かった。
恐らく此のタイミングで必要な本だから手に取って今読んでるんだろう(半ば衝動買い)、でもあまりにリアルな死の思い出が多くてしんどい。
帯に大人しめに「『別れ』を綴る」と書いてあるけど、故人との別れだとは・・・「まぜるな危険」レベルで明記しておいて欲しかった気もする。

友達について「共鳴したいときに共鳴できる存在」って表現してはるのが上手いな、ええな。
其の程よい感じの関係性が良い。

どうでもいいニュース:
同じ時代に大学生というか同じ学年っぽいけど、流石に煙草吸いながら授業する人も受ける人はおらんかった。
凄いな早稲田。。。