社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

あしたから出版社

9時間寝ても眠いものは眠い。

「あしたから出版社」(島田潤一郎/ちくま文庫)読んだ。

作家志望だった方がひとりで夏葉社という出版社を始める迄、そして本を作り売る側から見た書店の話。
確かに作家よりは出版社の方が適してそうな文章である。。。
もしかしたら、文章ではなく本を作り送り出す事で表現する方に長けていらっしゃるのかもしれない。

夏葉社の本は万城目学のエッセイを所有している。
sociologicls.hatenadiary.jp
凄く丁寧に作られた、読むだけではなく所有する喜びのある本である。
読んでいると、此の本がそうなった理由が解る。
抑も、1冊を、万人ではなく“誰か”に届ける為の本を作る所から始まっているのだ。
其の本を出す為に別の本を出すけれど、其れも別の”誰か”に届ける為に復刊されたものだった。
1冊1冊の本を届ける為に最適な姿にする、“もの”である事にこだわって作られている。

こころを伝える「もの」であるように思えるのだった。(p.138)

独りよがりかも知れないが、動くべき人、届くべき人の心を動かしているから凄い。
又吉の話も凄いよ。

「出版社をたたみたい」と考えはる事もあるそうだ。
そうだろうなぁ、企画から誰に手を借りるか(一人では本を作れない)から書店への影響から何から何迄、全部島田さんお一人なんだから。
でも畳まないでいて下さって良かった。
万城目さんのサイン本手に入れられたし(おい)。
海文堂にも再会出来たし。
閉店から今年で10年か。。。
書かれてる店員さんは多分あの方かな?とアタリを付けた、お元気でいらっしゃるかしらん。

地方の時が止まったような書店や其処に残された本はコアな人が喜びそうではある。
でもそういう人には届かないんだろうな。
間を取り持つ手段は無いだろうか。
(某古本屋が事情がって本ごと買い取る人を探しておられるが、そんな感じでまるっと一括で買って実店舗またはWebで売るとか)
売りたい本が伝わる本屋って、実際難しいと思う。
流泉*1ガチで凄いわ、街の本屋さんとして親しみやすさもありながら、コアな方に振り切ってはる。
まだ古本屋の方が個性出し易いかもしれない。
・・・そんな事を考えながら後半を読んでいた。

そういえば御自身の本は夏葉社からは出さなかったんだな。
出しづらいか。

「昔日の客」に関しては、著者の息子さん側の話も読んだ
www.asahi.com

どうでもいいニュース:
棚は埋まってるけど虚無ってて、「街の本屋さん的なお店に生きていて欲しい」という自分ですら「此れはアカン」って思ったお店が過去に3軒ある。
棚を作る以前の問題だった。
レジで店番が煙草吸ってるとか、地味に鼻で嗤う感じで接客するとか、ただ只管虚無で欲しい本が何処にあるか解らない(探せない)とか・・・。

*1:登場する「海に近い本屋」ってもしや?