社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

82年生まれ、キム・ジヨン

只管ピスタチオペペロンチーノ連呼する歌がラジオから流れてきた。
今時な感じで可愛らしいけど、半年くらいピスタチオ見たくなくなる程度に鬱陶しかった。

「82年生まれ、キム・ジヨン」(チョ・ナムジュ、斎藤真理子・訳/ちくま文庫)読んだ。

2015年秋、キム・ジヨン氏に別人女性が憑いたようになる。
困った夫のチョン・デヒョン氏が精神科に相談に行く所から始まる。
そして語られる生い立ちから今迄、精神科医のカウンセリング記録として物語が進む。

読んでいてしんどい、きっついわあ。
女に生まれただけで、どんだけセクハラパワハラされなあかんねん、我慢させられなあかんねん。
あまりに理不尽である。
だから一気に読めなかった。
特に「ママ虫」の下り・・・かーちゃんが居なかったらお前等産まれてへんやろっていう。
もし韓国の女性達の多数がこんな目に遭ってるだとしたら、過激なフェミニストも現れるわな・・・。
自分自身も苦労してきたというお母さんも頑張りはってお父さんにガツンと言ったりするけど、社会に出てしまえば娘が苦労しなきゃならないままだった、世間は変わらなかった。
結局救われる事は無い。
何なら、相談に行った精神科医の家庭だって問題ありあり、なのに夫である精神科医は妻の事を理解してない、する気も無さそう。
同僚に対しても同じ。

読後に色々見てたら「悪意が無いのに」という感想があったが、「悪意が無い、という悪意」はめためたあると思うぞ。。。

解説読んで、言われてみれば確かに登場する女性達は「~氏」として名前が出てくるが、男性達は夫以外に名前が無い。
結婚すると名前ではなく「ホニャララさんの母」と呼ばれるようになる、そのミラーリング

此れ読んだ男達はどうだったんだろ、女性が頑張るだけじゃなく、男性の認識・考え方が変わらなきゃキム・ジヨンは次次現れる。
脚注でデータ元が示されているが、此れも「エビデンスは?」という男性からの異論に対抗する為、との事である。
女性アーティストが此の本を読んだ、と言っただけで「フェミニスト宣言をした」と叩かれる。
(グッズ壊す動画を態態上げるってのも国を問わないんだな。。。)
もしそう言ったのが男性アーティストだったら、どうなんだろうね。
同じく叩かれるのだろうか。そうはならない気がした。
韓国で出版されてから、日本で文庫化する迄の間に良い方に変わったという事も無さそうである。
難しいのが女性の認識ももしかして・・・な所。
日本でもちょいちょいある。
親戚の集まりで「ホニャララちゃんは女やのに男達と飲んだくれてる」って愚痴るとか。
こっちは「鬱陶しいオッサン共引き止めといてくれて助かるわ」って見てたんだが。
「男の子だから、女の子に優しくしなさい!」って叱る母親とか。
男女関係なく人には優しくすべきだと思うんだが。
・・・かとゆーて、声高に「酷い!」とも言い辛い自分もある。
無意識に「男はこうあるべき、女はこうあるべき」が出てしまっているのではないか・・・と。
一部のフェミニストみたいな声の上げ方はなんか違うような気がするし。

ところで、韓国でも「結婚したら子供を産むべき」「産まなきゃ駄目」なんて言われるんだろうか。
露骨に説教垂れてくる人や挨拶代わりに言うてくる人、「うちの子供まだちっちゃいから~」って言葉の裏に見下しが見え隠れする人に遭遇したの、読んでて思い出した。
幸い、今の人間関係にはそういう人が無いので、何とか生きていけてる。