社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

遺品博物館

人生「あの時ああしていれば良かった」「もう会えない/観られないなんて」ばかり、だけどブッチャーズだけは何故かそういう気持ちよりも「其れでも1回生で観られてよかった」が上回るのは何故なんだろう。

「遺品博物館」(太田忠司創元推理文庫)読んだ。

古今東西の遺品を収蔵する遺品博物館、希望者が亡くなったら学芸員の吉田・T・吉田がやってきて収蔵品を選ぶ。
選定基準は秘密。物語があるもの、らしい。
ミステリーとして、幅広い。
遺品の話だから勿論人が死んでる・・・其れは殺人なのか、一体何が起こったのか、相続すったもんだはどうなるのか、何故自分が遺族に呼ばれたのか、過去に何があったのか、色んな謎が。
1行目からきゅるっと変わったり、最後に「そういう意味だったのか!」と驚いたりスッキリしたり。
あ、大事な謎があった、果たして吉田・T・吉田は何を収蔵品として選ぶのか?
読む前は、遺族が大事に取っておきたい品を「収蔵品として受け取りますよ」って言われても困っちゃうよな・・・と思っていたが、そういう事は無かった。
皆さん納得してはる・・・とは限らないが。
読む方は納得する。成程。
亡くなった人のメッセージとして伝わる話もあって、良いな。

手のひら位の小さな精巧なジオラマをじっくり眺めて、最後に仕舞うべき所に仕舞う。
そんな感じの短編集である。

「奇談蒐集家」は続きが無さそうな感じだったけど、「遺品博物館」はもうちょっと続きそう、続けられそうな感じがした。
もうちょっと、色んな収蔵品の物語を読みたい。