社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

暗黒館の殺人

暗黒館の殺人」(綾辻行人講談社文庫)読んだ。

ボリューム凄い!
しかも某百鬼夜行シリーズのちょっと薄めの巻位の厚みがある巻もあるけど、流泉書房の今日のオススメ本によれば読み易いそうなので安心。
湖の小島に建てられた真っ黒な館で次々と巻き起こる事件、人も死ぬよ!
しかも嵐が来るし陸地への通信手段も岸への行き来も断たれた。
館の外装も内装も居る子供達もゴシックである。
・・・真っ黒って、落ち着かへんやん!
其れも意味があるのですが。
しかし意外と死人出ないもんだ。
・・・と思ったら昔めっちゃ死んでた。
そして連続殺人。
首スパーンは無いが、人間ぱっかーん!はあった。
ホラー、ゴシック、ミステリーに”あったらいいな”な要素が満載である。
何でもあり。鬼畜も狂気も。
「其処は案内したれよ!」「よう調べたな其処まで!」というツッコミ要素も。
ツッコミ入れてるうちにずるずる物語に引き込まれるのである。
視点が切り替わる事が明示されるが、何で敢えて三人称で場面毎に切り替えていくんじゃなく態態そういうめんどくさい事してるのか。
其れは其れでミスリードされそうでややこしい・・・と思って読んでいた。
其れもどういう事なのか、ちゃんと解決(?)する。
ぶっちゃけ、“最初”と“最後”は無くてもミステリーとして成立しなくはない、でもちゃんとあるから「ああっやられたァ」という悦びがある。
此の悦びがミステリーの醍醐味だと思う。
いきなり「暗黒館」読んでも大丈夫だけど、「暗黒館」迄の館シリーズ読むとニヤニヤ出来ちゃうかも。

以下、ネタバレ有り。




4巻の解説で「ほぼすべてが解決篇と言っていい『暗黒館の殺人(四)』の本編より先に、なぜこの解説を読もうなどとするか!」(p.404)って怒られちゃうので、ちゃんと本編読んでから各館、もとい各巻の解説読もうね。





てか偶然て、凄すぎるわ。
妙に御時勢の話が出てくる、日付に拘るなぁとは思っていたが、年単位で違っているとは。
二つの時間、二人の江南を繋ぐ懐中時計。
ずっと懐中時計は気になっていた。
或る意味ツッコミ入れる訳だな、”視点”が。
読みながら「陰摩羅鬼の瑕」を思い出したのはそんなに間違ってなかった。
あれも”人間への認識”がちょっと違う人が犯人だったじゃないですか。
玄児の台詞で
「“真実”など無理をして探し求めるものじゃない。むしれ、知らないままでいられることを良しとする、そんな対し方があっても構わないだろうに」(2巻p.184)
「真に重大な、切実な歪み」(3巻p.178)
ってあったけど、本人は何処迄気づいてたんだろうな。
(玄児疑ってごめんね)
第五部ラストは直接本編に関わっては来ない筈だけど、暗黒館次代当主のあの一言は妙に清清しい気持ちになった。なるなよ。

あと特別寄稿の其其の方の想いが異様に深くて濃くて良い。
京極先生のを「暗黒館の殺人」全部読んで特別寄稿も全部読み切った所で読むと感動する。するなよ。

どうでもいいニュース:
「時計館」「黒猫館」すっ飛ばして「暗黒館」読んだのは京極先生の特別寄稿があるからだ!