社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

日本全国タイル遊覧

「日本全国タイル遊覧」(吉田真紀/書肆侃侃房)読んだ。

「本が好き!」の献本に当選した分。
「普段目にしている筈なのにあまり意識していないタイルについて、改めて見つめるきっかけにしたい」として応募した。
実際、此の本に掲載されている京都の地下街ポルタは何度か通ってる筈だし、大阪の綿業会館なんて「あそこそんなすごいとこやったん!知らんかった!」である。
タイル装飾については目に留まってるようで、あんまり意識してなかった。

紹介されているのは昔からの洋館、料亭、銭湯等のタイル。
ポルタは割と新しい。
建築当時から其の儘維持されているタイルもあれば、建て替えた後の建物に引き継がれるタイルもある。
頭から読んでも自分の知ってる場所からでも何処から見ても楽しいが、最初にコラムに目を通しておくとタイルの種類が分かって「ほうほう、此れは素晴らしいマジョリカタイルですな」なんて堪能出来て良いかもしれない。

タイルって、こんなに華やかなもんなんだとは思わなかった。
壁や床に地味に詰め詰めに貼られているイメージが強かった。
タイル其れ自体に絵や模様が描かれていて、其のタイルを使って空間全体にも絵が描かれているとは。
シンプルな方が落ち着くのでは?というのは庶民の感覚なのかも知れない。
心も財産も豊かだから華やかで細かい所までこだわり抜いた家で暮らせる。
タイルは豊かさの象徴なのかも。
銭湯、料亭、旅館・ホテルは特に華やかである。
とびっきり粋で艶やかだったり、ちょいと洒落が効いていたり。
此れも「非日常の空間を明るい気持ちでお過ごしください」という”おもてなしの心”の表れなんだろう。
其の”おもてなしの心”は、この本の文章・写真にも溢れている。

そして、タイルを楽しむ事は建築・歴史を味わうという事でもある。
タイル単体でも美しいだろうけど、住居・滞在の場に使われるから一層美しい。
シャンデリアやステンドグラスとの相乗効果もあるし。

旅行のお供に如何?
タイルを訪ねて日本各地へ、というのも楽しそう。
行けなくっても、「もし此の洋館で暮らすなら、此のホテルに滞在するなら」と想像するだけ楽しくなる。

今度、神戸関帝廟に行ってこようと思う。

※21:20追記
「本が好き!」のレビューはこちら
内容は同じなんだけど、文章が”よそ行き”になっている。

どうでもいいニュース:
小林家住宅見て恩田陸の某小説(「ユージニア」かな?)思い出した。