社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

関学生の阪神大震災

関学生の阪神大震災 心身保健学的分析」(松本和雄・編著/協和印刷株式会社出版部)読んだ。
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1/17に少し触れた本である。
家族と暮らす家で、下宿で、部室で、電車内で、何処かから帰ってきた時・・・地震が起きた時に居た場所も様様である。
「同じ階で自力で抜け出したのは自分だけだった」という方、ご近所さんの救出にあたった方、死を見た方も・・・。
皆さんほんまに頑張りはったと思う。偉いよ、ってずっと心の中で言ってた。
下宿されてる方は、友人達と助け合って生き延びてはった。
1人ではやってけないけど、当日から行動してはってんなぁ。
下宿先から実家へ避難された方が「逃げた」と書いておられるのが多く見られた、でもあの時は仕方なかったんじゃないか。
「ボランティアをしたい、できない」というのも。
生き抜くので精一杯だったんだから。

書いているのが教育心理学を学ぶ学生さん達なので、避難された方々の様子(日の経過についれて必要とする物事が変わっていく様子等)もしっかり見ておられるし、被災者のメンタルヘルス不潔恐怖症・不安神経症の方についても気持ちが向けられている。

ある出来事が、ある人にとって大きすぎる出来事のとき、とっさには理解しえない。人間は自分に余裕がない限り、他人を思いやることは出来ない。本当に怖い出来事は、その時よりあとになってじわじわわかってくる

その恐怖に打ち勝つためには、何か1つでも前向きな目標をもって、それに向かって進むのがいい

と書いておられる方があった。
新コロ禍の今にも刺さる。

後半には先生方の分析が掲載されている。
今だったら文章自体を解析して単語の繋がりを見ていく事も成されていたのかもしれないな。
当時はχ2検定による比較が多かったっぽい。
「いつもからだの調子が良い」「陽気である」の可能性というのはびつくりした。
manic defence様症状・・・躁的防衛というやつ。

情報・・・マスコミの報道により不安が増したというのは被災地/被災地外問わずあったようだ。
情報が無いのも不安だが、有り過ぎても落ち着かない。
今は当時より改善されてると思いたいが・・・どうなんだろう。

貴重な資料だと思うのだが、何処かで活かして頂く事は出来ないだろうか。