また雨かー。
「熱帯」(森見登美彦/文春文庫)読んだ。
「熱帯」という、誰も最後まで読んだ事が無い、読み終わる事が出来ない本の話。其れを「沈黙読書会」という、「謎」を抱えた本を持ち寄って語り合う会で見つける所から始まる。
「熱帯」を巡って、東京から京都へ、そして・・・”何処とも知れない砂浜”へ!?
そしてぐるぐる回る。輪舞か。
「千一夜物語」を巡る物語、でもあるのかもしれない。
多分、「熱帯」の謎が解りやすく提示される事は無いだろう・・・とは思っていた。
だが、こぉんなにぐるぐる追われ、連れ回されるとは思わなかった。
冒険小説なのか、此れ。
訳わかんないんだけど、何故か”解る”んだよなぁ、少なくともそういう状態で読める。
そして”小説を読む”という楽しみについて書かれた本でもある。
白石さんの言葉に
たしかに小説がなくても生きていけます。でも面白い小説が読み切れないほどあるということはそれだけで無条件に良いこと、それだけでステキなこと、みんなよく頑張った、人類万歳!そう思えたんですよ
とあって、「それな!」って思った。
作中に登場する「熱帯」、此の本であるところの「熱帯」、「千一夜物語」・・・色々読みたくなる。
此の本であるところの「熱帯」については、表紙も巻き込んでくる。
凄いよね、物語の面白さだけじゃなくて本を読む事自体の面白さも織り込んでるの。
こんなご時勢だから何処にも行けない、でも「熱帯」でも何でも、小説を読めば何処にでも行けるし何処ででも冒険出来る。
現時点で個人的ベスト・オブ・森見登美彦だわ、此れ。
暴夜(アラビヤ)書房も気になるところである。
ーーー大団円(めでたしめでたし)
あと喫茶メリーは実在するんだろうか。
進々堂は実在するの知ってるけど、知らんかったとしても其の心算で読んでたと思う。
リアルに近い方が「実在するんかな?」ってなるのが此れまた地味に面白い。
どうでもいいニュース:
読んでる途中で民博行った時のエントリで「民俗学」って間違えて書いてた事に気が付いた。(現在は修正済み)
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