社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

詐欺師は天使の顔をして

今、大阪や兵庫の医療体制が大変な事になってるもんで「酷い」「残酷(泣いてる絵文字付)」其の他ボロカス言われてるけども。
其の中でどれだけの人が「明日は我が身」って思ってるんだろうね。
宮城大変だ・・・東京えらいこっちゃって思ってるうちに、こうだ。
うちはそんなに感染者出てない・・・と思ったら一気にいくぞ。
TVに出たがる/出されたがる知事は大阪以外におらんやろうけど。

「詐欺師は天使の顔をして」(斜線堂有紀/講談社タイガ)読んだ。

霊能力者・子規冴昼が失踪して3年。
彼のプロデューサー呉塚要の元に冴昼から連絡が入る。
冴昼は”超能力者のいる街”に居て、殺人の濡れ衣を着せられている。
要を呼んで晴らそう、という話である。
超能力、と言っても”手を遣わずに物を動かせる”というもの。
何もそんな高いとこにわざわざ置かなくても・・・と思うけど、其の街の人には便利なんだろう。
その次は要が冴昼追っかけて”死者の蘇る街”へ、死者が蘇るんだから殺人なんて大した罪でもないのに彼らが出会った女性が殺される。
その犯人捜し・・・というか謎解き。
そして出会った女性も冴昼のように色んな街に転移してている”ヴァンデラ”らしい。
どちらの街の事件も只の犯人捜しではないが具体的にどうしたか書くとネタバレになるかも、という。
なんだかややこしそう。
冴昼と要にも色々ありそうだ。
そもそも冴昼は霊能力者じゃない、色々あるけど霊能力でアレコレしてるようで実はトリックがある、みたいな。
事件が起こるシチュエーションはそういう”けったいな街”でトリッキーだが、トリック自体は割とシンプルである。
特殊なシチュエーションならでは、なとこもありつつ其れが目眩しにはあんまりならない、2時間ドラマ的「ねーよ!」なトリックどーん!ドヤ!でもない。
そのバランスの良さが好き。
ミステリ部分が薄っすらしてて其れ以外のとこばっかりでもなく、トリックの為に全てが捧げられてるばっかりでもなく。
ほんのりしているが、味はしっかりあるという。
あと、何となくBLっぽい。ほんのり。絡みは無いです。
そこも何か叙述トリック的な仕掛けがもう少しあるかと思ってた。
名前とか。
捻り過ぎずに楽しんだらよろし、って事か。

ところで何で冴昼は「事務所の裏路地に朱色の電話ボックスがある。そこから掛け直せ」って要を呼べたんだろう?
自身の移動は制御できないのに。
ちょっと気になった。

因みに此の作品読んだきっかけは「グラン・ヴァカンス」が出てくるからだったが、それも割とシンプル、ほんのり。
此処に出てきたのが「グラン・ヴァカンス」なのか・・・ってそっち読んだらびつくりしちゃうね。ふふふ。