社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

濱地健三郎の霊なる事件簿

人間関係(というかツイ)断捨離されてたんだが、よく今迄フォローしてくだすってたもんだと思う。
此のゲスゲスうんこ垢を。

「濱地健三郎の霊なる事件簿」(有栖川有栖/角川文庫)読んだ。

死者が見える心霊探偵の話。
視点がくるくる変わる、犯人や真相が解ったとしても「何故そうなったのか」が最後まで解らない。
出てくる死者はあんまり生者に手を出してこない。全てではないけれど。
ほんのり。
霊(くしび)なる、とはそういう事か。
死者(殺された人)が激しく主張する訳ではないが、其処は濱地の推理力・観察力である。
推理を確実なものとする為の”霊を見る能力”かも。
助手のユリエとの遣り取りがなんか可愛い。
元漫画家で、描く似顔絵がヒントになったりする。すごいな。

基本的には怪談ミステリ、ミステリ色が強いが、最後の「不安な寄り道」がばりばり怪談である。
え、其処から!?ってなった。
寄り道しようとしたばかりに・・・なんだけど、「寄り道しよう」と思わせる何らかの力も働いていたんでは。
濱地の助手を務めるうちに能力が開花して”視える”ようになったユリエとの世界の見え方、あり方についての話が面白い。
現実の世界と視えない世界の重なり・融合、見たままでも触ったままでもない世界・・・全ては素粒子が結合してできた実体のない現象。
不安なのだけど、愉快でもある。冒険でもある。
・・・とそーやって読む側まで揺らしてくる。
とはいえちゃんと落ち着くとこには落ち着く。
ディミニッシュコードみたいな感じもするな。
ふらっと目の前が揺れるけど、濱地&ユリエに委ねて安心して読める。
そういう程よい気楽さが良いな。