社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

坂本図書

「坂本図書」(坂本龍一/バリューブックス・パブリッシング)読んだ。

坂本図書

坂本図書

  • バリューブックス・パブリッシング
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坂本龍一が人と本について語る。
いかつそうだな・・・と思っていたが連載の書籍化なので読み易い。
物の見方が流石である、一人の作家・その作品から此処まで深く考察しはるんや。
石川淳についての話の中で「ただ残念なことに僕はこれまで、楽しむために本に接したという記憶があまりない。」(p.178)と仰るだけあって、哲学、生物学、人類学のような本が多い、フィクションは所謂”文学作品”、雑に言えば昔の小説が多い。
夏目漱石草枕」「行人」読むかね。

国家と農耕についての考えは「成程」と思ったが、同時に「そうは言うても其の時代におったら已むを得なかったんでは」と少し考える。
割とそういう、「確かに仰る通りだ成程である、しかしそうならなかった事にも理由がありそうで一概に『そうだ』とは同意しかねる」論が多い。
対談の中で「迷惑を掛け合う」という話が出てくるが、其れも限界はあるのかも、だ。
今、声を上げてる人というのは旧来の制度の中で抑え込まれた、自由になれなかった人もあるだろうから。
「迷惑を掛け合う」為には「お互いの存在を認識する」必要があるけど、其れが出来てないから問題が噴出してるんじゃないかという気がした。
時間についても、「そうは言っても時間は一方向だ」と思う。
もう戻らない、泣いても怒っても戻らないからもっと良くしようと出来るんでは無いか。

そんな感じで内心「そうや言うても~」連発していたが、其れは其れで面白い読書体験だったな、と。
普段だったら興味持たないだろうなーという本を読みたくなった、そういう意味で素晴らしい読書案内だった。

場所としての「坂本図書」、行ってみたい。
御本人の所蔵してた本が読めるのだそうだ。
読むのは恐れ多いとしても、どんな本があるのか観てみたい。