社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

京都に女王と呼ばれた作家がいた 山村美紗とふたりの男

とあるTwitter懸賞で当選した人の顔ぶれ見ていると”きちんとしたアカウントの人”達が当選していた。
当選したよー感想こうだよーって言うのを呟いてもイメージが良い人達である。
日頃の行いって、こういう所に現れるんだと思ったが反省はそんなにしない。

「京都に女王と呼ばれた作家がいた 山村美紗とふたりの男」(花房観音/幻冬舎文庫)読んだ。

不本意ながら幻冬舎。(恒例)
親本は別の出版社なのにな。但しそちらだと文庫版は出なかったと思われ。
そして此れもタイトル長い・・・。
山村美紗は小説も読んだ事あると思うけど、ドラマで触れる方が多かった。
「赤い霊柩車」シリーズはよく観てた。
西村京太郎はオカンがめっちゃ読んでたから自分も其のお零れに与ってた。
(1作、阪神淡路大震災を取り上げてくださるのは良いのだが、幾ら被災者だからって犯罪者を安易に擁護するような人々だとお思いで?神戸新聞や神戸市民莫迦にしてませんか?という作品があって、其れ以来読む本が無ければ借りて読むが自ら進んで読むのは止した)

山村氏の親御さんの出自含めて、出生、結婚、作家デビュー、活躍、逝去、そして其の後の顚末まで。
見たんかい!其の場に居ったんかい!な臨場感ある文章である。
そして書かれているエピソードの一つ一つが何の物語っすか?
現実を基に描いた花房さんの小説(フィクション)だと言われても驚かない。
数数の女王のエピソードが凄過ぎて。
だいたい「京都のお嬢様で大和撫子だが、射撃や運転の腕も一流」って、山村氏御自身が推理小説の主人公のようである。
魅力と華に溢れるヒロインが鮮やかに事件を解決してゆく、其の姿と重なるのかもしれない・・・と思ったけど其れ以上に完璧なヒロインだったのかもしんない。
其れでも「可愛い女の子と呼ばれたい」のが切なくもある。
作品を次次と世に出して売っていく、其れこそ”量産”する勢いで、其其が面白くても、”代筆疑惑”は出るのだなぁ、と。
そうならないように旦那さんが身を引いて表に全く出ず山村氏を支えながら御自身の仕事(教師)をされていたにも関わらず。
西村氏も勢い凄かったもんなぁ。
オカン、必ず新刊コーナーから買ってた。
あまりに作品数多過ぎて間違えて重複購入しそうだったから・・・新刊なら確実に家に無いので。
閑話休題
社交的で華やか、何なら凄まじく苛烈だったのは、御自身に関わる人達を楽しませたい、他人に有無を言わせたくない、完璧でいらっしゃいたかったのだろうか。
埋めても埋めても埋まらない”何か”があったのか、と思った。
山村氏、西村氏のプライベートについて出版関連の人達がタブーにしていたのは警戒し過ぎなんでは?と一瞬思ったが、実際に苛烈でいらっしゃったのを身をもって経験した方から引き継がれていったのかもなぁ。
そんなん大変やん・・・と思ったけど、作品もお人柄も魅力的で惹きつける力が強かったのかも。
其れに必ず締め切りを守る・・・だから出版し続ける事が出来たのかも。
守れない人を待てないだろうし。
書いても書いても書かずにいられない位沢山書いておられたし。

西村氏の「女流作家」「華の棺」は、愛だったのかもだ。
仮令誰かを傷つけるのだとしても、せめて自らの書く小説だけは想いを遂げたかったのでは。
其の是非は置いといても。。。

亡くなったのは1996年だったのか。
20年以上経ってるなんて、びつくりである。
今の「本が売れない」出版界の惨状もだけど、2時間ドラマ枠が消えた事もどう思いはるやろか。
あと京都のゆるふわほっこりミステリー(?)とか、どうだったんだろうな。

ところで此れ、トンチキライターが書かなくって良かった。
お二人に近すぎない、愛と敬意を持って丁寧に丹念に書かれる方で良かった。

しかしもう山村美紗の小説を読めなくなってるとは。
電子版があるとはいえ、新刊書店ではお目にかかれないとか。
あんなに一世風靡したのに。
(古本屋にたんまりあるのかもしれないが・・・)

どうでもいいニュース:
花房さん、吉村智樹さんと結婚してはったん!