社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

ツナグ 想い人の心得

山形や福井にドバーッと降ってる雨を分割して各地に降らせて貰えないだろうか。
“バカの打ち水”でもいいから。
・・・とか言ってると、今度はこっちにドバーッなんだろうか。
ウムウ。

「ツナグ 想い人の心得」(辻村深月新潮文庫)読んだ。

前作すっかり忘れてた(汗)
続編出た事にちょっとびつくり。
随分空いての続編、“劣化”せず、違う輝きを持って世に出て良かった。
(ミステリっぽさが薄くなって、”人が好くなった”気はする)
使者にも普段の生活あるんだなぁ、という当たり前の事を思う。
お祖母さんから受け継いで7年経つけど、悩ましい事もあるだろうし。
以下ネタバレあり。





面白かったのが「歴史研究の心得」。
故郷の名士、領主を研究されていた方が、其の対象に会いたい、と。
よく会ってくださったものだと思う。
驚かれただろうなぁ、後世の人に呼ばれてみたら言葉も通じないし建物も街並みも世界も全然違っている。
歴史上の謎は解けてしまえば「なーんだ」かもしれない、でも其れでも”いい話”ではある。
領主の素敵エピソードだ。
領主にとっては、自分に会いたいと言う後世の人が居るというのが素敵エピソードかもしれない。
あと「母の心得」。
”娘に会いたいお母さん”2組が同じ日なのも“ご縁”なんやろね。
此の物語の後にもお母さん同士の交流があったらいいなぁ、と思った。
片方のお母さんは他の話にもちょっと登場する。
「想い人の心得」は、ずっとずっと会いたいと願ってきたけど断られてきた人の話。
其れでも”ご縁”はあるのだねぇ、毎年連絡が出来るという事は。
今年はある一言を聞いて「会う」と。
若くして亡くなった絢子に、御家族や許嫁や友達が其の後どう生きて、どんなに一緒に生きていたかったかを伝えられる最後の人になってしまったのが切ない。
ツナグを通じて会いたいと思い続けてくれる人が居るという事。
そして桜を見せられる最後の人。
此れも愛なんだなぁ。

また続きは出るのだろうか。
解説の方が「本作品の後も、辻村氏は意欲的な長編や短編を次々と発表されている」と書いておられるけど、此れは「ツナグ」シリーズの事なんかな。