社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

2084年のSF

きちっと考察出来ひん、あほの子がSF読んで感想書いてもいいよね。
時たまSF方面はきちんと考察・深読みしなきゃいけないような気持ちになる。
大事なのは面白いかどうかだッ!

「2084年のSF」(日本SF作家クラブ編/ハヤカワ文庫JA)読んだ。

ジョージ・オーウェル1984年」から100年後の世界を描いたアンソロジー
アンソロジーは色んな作品をいっぱい読めて良いね。
・・・とは言うてみても。
今回は合う/合わないの差がかなりあって、読むのがしんどかった。
悪い意味で「2084年じゃなくてよい」作品も。。。
「まえがき」に

 作家は予言者ではない。予言者であってはいけない。
 なぜなら、予言は当たるか外れるかで判断されるからだ。その物語が未来を予測していようがいまいが、どうでもいい。当ててやろう、なんて欲を持った瞬間に物語は失速し、輝きを失う。(p.9)

とあって確かに・・・と思う。
でも作品に対して「予言されてた!」って読んでしまいそうになる。
此れだけぐっちゃぐちゃな世の中で縋れるファイバーの藁がSF小説なのかもなぁ。
ワクチン的に読んで精神的に”備えて”おきたいのかもしれない。
或いは”人間の想像力の強さ”を信じたいとか。
どんな事があっても強かに生きる人間が居るし、居ると信じたいし、滅ぶにしたって抗ったぞ!という証は欲しいかもしれない。

最初の2作はサウンドチェックに使われてる、みたいな存在か。
ほんとはもっと面白い筈なんだけど”2084年の”縛りが災いして出しきれない、みたいな。
別にSFっぽくなくても面白ければ何だって構わない筈なんだが、SF的なモノがブツとして”出てくるだけ”な作品よりは、もっと”食い込んでる”感じがする作品の方が面白かった。
其の”SF的なモノ”とは?と考えるがどうにも説明しづらい。

面白かったというか印象に残った作品等。
・目覚めよ、眠れ/逢坂冬馬
30分の人工的睡眠、消耗激しそうだよなぁ。
リオが8時間で足りてるっぽい事すら驚きなんだが、個人的には。
「自分が世界から離れる時間が必要」って、なるほど。
其れにしてもカズキすごない?
其処まで影響力あるんかっていう。
やっぱりみんな消耗して疲れてるんだよ・・・
・R_R_/ 空木春宵
ええな!
世の中どんなに締め付けられても、強かなもんだ。
「音楽(ロック)はね、(中略)身体のすべてを使って触れるべきものなんだよ」って其れな!
とはいえ宗教みたくもあるな、或いは洗脳。
ちょっとダサくもある、其れもまた良し。
いいSF、という以上にいい音楽小説である。
実は最初の震災も似たような事したとか・・・!?
章のコードはちょっとメモっておきたい。何の曲だろう?
・春、マザーレイクで/櫻木みわ
何となくそんなような気がしていた。
他の生き残った人の夏、秋、冬・・・という続きがありそう。
ないから、此れですぱっとお終い、だからええんかもしれんが。
此処から大長編が出てきてもおかしくない、ちょっと期待してみたりする。
・The Plastic World/揚羽はな
こういう「失われていくけど人間は強かに生きるぞ!」みたいな話好き。
・祖母の揺籠/池澤春菜
なんか、いいなぁ。
「2084年のSF」の中で一番好きだ。
物語の持つ色味や線の細さが良かった。
やっぱり桜なんだな。
子供たちには桜がどんな風に見える、感じられるんだろう。色素胞はどんな色?
作者御本人の朗読で聴いてみたい気もする。
・BTTF埋葬/斜線堂有紀
うろ覚えの「華氏451度」思い出した。
フィルム焼くからかなぁ。
映画ラブな話だけど、此の作品自体が短編映画みたい。
・未来への言葉/高野史緒
シンプルに真っ直ぐにいい話。
助かって欲しいけど万が一もあるかもだし抑もだし・・・いやあんハラハラするぅ。
こんなクソい時代だから染みるわ。。。
・上弦の中獄/吉田親司
中華SF、とはちょっと違うのか。
「中国が地球を統一した世界を描く改変歴史SF」だそうだ。
めっちゃSFぅ!ええSF読んだわぁ、という満足感しかない。
そしてオチ酷ぇ!(褒め言葉)
こういうのを他人事としても読めるのが、フィクションのええとこかも。
ところで餃子焼くん?水餃子じゃないん?と思ったら、其れも意味があるのだった。
・火星のザッカーバーグ/倉田タカシ
此れはいい「1984年」み、って知らんけど。
同じ書き出しの話、実はせーの!で同時に”再生”されるべきものだったりして。

其れにしても新コロの扱い難しいな。
2020年以降に起こった伝染病として取り扱われるが、下手すると嘘臭くなりかねない。
リアルな現実なのに。
今って嘘臭い世界に生きてしまってるのか、ワシら。

どうでもいいニュース:
過払金広告ネタが2作にあってわろた。