社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

人類よさらば

東京電力の情報だけ呟くbotみたいなアカウントがくそほどあるけど、何なん。
停電について検索したい時にむちゃくちゃ邪魔なんだが。

「人類よさらば」(筒井康隆河出文庫)読んだ。

マイルドだがキレッキレのショートショート集。
高校時代の自分に「『薬菜飯店』びっくりしちゃったねぇ、次は此れを読むと良いよ」って勧めたい、でも当時にこうやって纏めて読めなかったんだよな。
良い時代ですよ。
クラリネット言語」みたいに、小説とは限らないっぽい作品も。
1981年には神戸大丸でクラリネット買えたっていうのがびつくりである。
文字通り”百貨店”だったんだなぁ。何でもある。
元町商店街ヤマハはまだ無かったのだろうか・・・と一瞬考えたが、確かお師匠さんがレッスンしてはった筈である。

印象に残ってる話。
・大怪獣ギョトス
白鳥座六十二番星の人間、ちっちゃいのかなー、地球人に比べると。
・悪魔の世界の最終作戦
眉村卓との共作。
筒井さんが眉村さんちに行ったらお留守で、筒井さんが眉村さんの原稿の裏にSF短篇をお書きになったのだが、其のまま校正刷りまで行ってごちゃまぜになっている事に気づいた、もう直せないから1つの作品として読んでね・・・というテイの作品である。
2つの物語がきゅっと収束する。すごい。
・EXPO2000
めっちゃ良い。
大阪万博が趣味悪そうだからさ・・・尚更。
・香りが消えて
ええ話や・・・ってオチが(笑)。
しかも此のオチの1文は今回加筆されたらしい。
ブラックというか、すぽん!と落とされた。
・更利萬吉の就職
初っ端に営業させない時代があったのか。
萬吉は「会社のことをよく知らない新入社員を、のっけから営業マンにしようなどという会社は」って”選社試験”ではじいている。
自分の新卒の就職活動中に新人教育について聞くとだいたいビジネスマナー・工場勤務からの営業マン、が多かったような。
総務・人事も営業やってからじゃないとダメ、みたいな。
更利萬吉シリーズは最終的にはハッピーエンド、なのかな。
めでたしめでたし、って感じがする。

其れにしても、本当に細かく拾い上げて本にされているようである。すごい。
年賀状もある。
此れ迄のファン、此れ以降のファンの為、突っ込んで読んでいきたい人の為の作品集。
編集された日下さんによる解説を見ると、Web上の作品はテキストが入手できなかったそうである。
プロじゃない、同人ではネット上の作品が読めなくなって云云ってちょいちょい聞くけど、筒井さん位の大御所でもあるのか・・・。
敢えてWeb上に”書き捨て”てはる、いや捨てるって言うたらあかんな、消えてしまう可能性も承知の上で作品発表の場にしてはるんかなぁ、とはちょっと思った。
でも読みたいよねぇ。

どうでもいいというかふと思ったニュース:
もし筒井さんが食パン小説や100字SFをお書きになったら、どんなん出てくるかな。