社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

金色昔日 現代中国SFアンソロジー

「金色昔日 現代中国SFアンソロジー」(ケン・リュウ・編/ハヤカワ文庫SF)読んだ。

「月の光」の改題・文庫化。
何で文庫化にあたりタイトル変わったんだろう。
穿越小説って日本の異世界転生みたいなもん?
文化が違えど求められるモノは似たようなモノなんかな。
と思って読み始めた「晋陽の雪」はちょっと違うようである。
異世界転生はあんまり詳しくないけど・・・)

面白かった作品等。
読んでて良かったなぁ、好き!だったのはふんわりした作品なのに、此処に一言感想を残してる作品はハードめ、何故だろう。
・月の光/劉慈欣
ロマンチックな話かと思ったら!
何故かスガシカオの「8月のセレナーデ」思い出した。
未来に関する情報がなるべく伝わらないように気をつける義務があると言いながら、未来から現在に関与して変えようとするのはいいんだろうか。
「へそで茶を沸かす」は原語でもそう言うのか、違う言い回しだったんだろうか。
・金色昔日/宝樹
或る男の人生と愛の物語。
だけど時間の流れと現実の歴史の流れが逆になっている。(現在→第二次世界大戦前へ)
すごい、けどちょっと酷い・・・運命のすれ違いではあるのだけど。
こういう作品がまだ発表出来るんだな。
・正月列車/郝景芳
「金色昔日」という重厚な物語の後なのでほっとする。
餃子わろた。春節と絡めてあるのかしらん。
乗客が良いと言うなら其れで良いんだろうけど、余分に歳取ってそう。
・開光/ 陳楸帆
SNSに関する話なんだが、ぶっちゃけなんでもありな。
仏教とSF・サイバーパンクって相性良いのだろうか。
「すし詰めの列車内でいっせいに鳴る梵鐘」はさぞかし面白いだろうな。
・未来病史/ 陳楸帆
「なんでも関係づける癖は百害あって一利ない。」わろた、確かに。

ラストに収録されているエッセイも面白い。
科学小説からSFへという流れや、SFによって啓蒙ってのは何処も同じなのかな。
清除精神汚染キャンペーンとか怖いな。
此のアンソロジーに掲載されている作家・作品も、都合悪くなったら出せなくなってしまうんだろうか。。。

何はともあれ、中国SFをほのぼのと楽しめる時代であって欲しいねぇ。
各国のSFを、お互いの国の人が心置きなく楽しめて、「よーし!」って影響受けてもっと面白い作品が生まれる、というサイクルが続きますように。

「移動迷宮」も気になるところである