社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

なめらかな世界と、その敵

仮想的にはもうGWなんだが、物理的には明日から。
今日も一日がんばるまん!

「なめらかな世界と、その敵」(伴名練/ハヤカワ文庫JA)読んだ。

文章は“おなじ”なのに、其其別の作者なアンソロジーぽくもある・・・どゆこと。自分でも解らん。
伴名練って一人なのか、実は創作集団だと言われても「なるほど」としか思えない。
振り幅が大きいというか、ほんっとに色んな物語が書かれているのだなぁ。
ゼロ年代の臨界点」面白い、日本SFのはじまりからの歴史が描かれているのだが、登場する人も作品もエピソードもいちいち面白い。
そっちは読めないのが残念である。書いてくださらんだろうか・・・いやモデルはあるのかもしれんよ、知らんけどそう考えた方が楽しいやん。
(というかどの作品も女の子、女の子の関係性お好きですよねぇ)
「美亜羽へ贈る拳銃」でインディファレンス・エンジンまで出てくるとは。
「ハーモニー」等の使われ方が面白い。”聖書”になるのな。
とはいえ「日本SFの臨界点」シリーズでルーツを先に読んでいるようなもんなので其の他は「あ、なんかわかるー」てな事を考えながら読んでいた。
そういうのも好き☆〜(ゝ。∂)

そして最後の「ひかりより速く、ゆるやかに」でぶち抜かれた。
他の作品ぶッ飛ばして、めっちゃ刺さった。
修学旅行の帰りの新幹線が”低速化”して、新幹線内で1秒経過するのに外では2600万秒掛かる・・・という災害(?)。
修学旅行に行けなかった2人の闘い、家族達の行動、”災害”を巡って大騒ぎする其の他大勢。
其の他大勢の反応が妙にリアリティある。
美談にしたり論ったりフィクション化したり都市伝説にしたり。
はてなブログ出てくるんわろた、何となく想像つくわ(笑)。
フィクション化については、主人公の行動にも少し関わってくるのだが。
”気持ちの落としどころ”としては、手段としてのフィクションも必要だろう。
此の作品に影響与えてるのが中井英夫「暴走バス」で、そちらでは最後まで描かれずに余韻として残してあるが、「ひかりより~」はしっかり決着している。
思い切って最終手段に出て、其処から「うえええっ!?」というラストを迎えるの、ええね。

どの作品も希望”みたいなもの”(not 希望”そのもの”)が描かれているような気がした。

難しかったり文章が体中の穴という穴から侵食してきたり脳みそわしわししてきたりしない、かといってゆるくもない。
SF好きな人も「いや、ちょっと・・・」な人も、「文字読んだらしにます」てな人以外は読むが好い。
つーか、読め。
5/31迄に発行された分については印税がウクライナ人道危機救援金に寄付されるし。理由は最初から最後まで全部読んだら解る。
(単行本の時は京アニに寄付されたとの事)

どうでもいいニュース:
「暴走バス」も「ひかりより~」も「中の人はどう認識してるんだろうな」と思った。