社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

クロニスタ 戦争人類学者

朝っぱらから眠い時は体温低いの、気のせいだろうか。
昨日くそほど眠く、寝落ちしそうになりながら体温測ったら36℃切ってた。
今朝は眠気も体温も普通。

「クロニスタ 戦争人類学者」(柴田勝家ハヤカワ文庫JA)読んだ。

表紙がいにしえのコバルト文庫スニーカー文庫スーパーダッシュ文庫みたいで懐かしさがある。
ライトノベルという呼称が一般的ではなかった頃の。

”自己相”で自己を共有して感覚認知を一致させ、平準化する世界。
人を殺してしまったとか辛いとか、そんな感情、心に負った傷は再復してしまう事も可能である。
自己相で管理されるのが厭だ、という民族は”難民”として弾圧するか自己相埋め込む手術をするか。
ちょいと「虐殺器官」「ハーモニー」的なモノが出てくるな。
(と思ったら伊藤計劃トリビュートに短編ver.が掲載されていたそうだ。1は読んでなかった。)
こちらも科学技術が魔法のような使われ方をしている。アレ*1ね。
主人公は文化技官、人理部隊・・・人類学、心理学、社会学といった観点から侵略・統治に活かしましょう、みたいな部隊に所属して異民族に相対する。
最前線なら、研究対象となる異民族に直接触れる事が出来る訳だ。自己相植え付けられる前の。
そうやって訪れたアンデスで出会い、保護した少女はコニス・マリ・・・黄金郷から来たという。
その少女の謎を追ったり陸軍と取り合ったりしながら黄金郷へ、という話である。
以下ちょっとネタバレするかも。



何で意識を統合したがるんだろうなー。
この物語は統合された後なんだが。
統合したら統治がやりやすくなるからかねぇ。
言語が共通化したら生活しやすそう、でも文化は違うっしょ・・・それも共通化しちゃえばいいのか。うーむ。
結局統合・共通化しきれなかった所に無理があって、殺したくないのに殺そうとする、みたいなしんどさがある。
再復も繰り返すのを見ていると薬物のようである。
ハレルヤ!つう訳にはいかんのですな。
個人的には統合せず複数パターン残した方が、万一の際にどれかは生き残るだろうから良いのでは・・・と思うのだが、全部統合してたらバックアップ(?)戻すのが楽なのか。

デレクがどんどん変わっていっちゃうのが読んでいて辛かった。
それも自己相の悪いとこ、なんでしょうな。
シズマに裏切られるみたいな形になって、其処に部隊の方針やら他人の憎しみやら上乗せされちゃったんだろう。
モーリスは解りやすく自分のモノではない殺意に動かされているのが描かれているが、デレクもそうなんだろうなー。
何処までデレクの意思なのかは解らないが。

どうでもいいニュース:
人様の感想見てたらラピュタみたいって言われててわろた。確かに。

*1:文化代相とか