社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

アメリカン・ブッダ

もち麦と十六穀を間違えて買ってしまった。
後悔はしていないが、炊き方が微妙に違うので戸惑っている。

アメリカン・ブッダ」(柴田勝家ハヤカワ文庫JA)読んだ。

今読んでー!って短編集。
少なくとも「検疫官」「アメリカン・ブッダ」は読んでー!他の作品も面白いしちゃんとついていける話だから読んでー!
である。

「検疫官」は物語の感染を防ぐ検疫官の話。
創作物も神話も歌謡も、物語るものは全て持ち込まない、持ち込ませない。物語中毒者は想像病院に隔離される。そんな国の話である。
それでも物語は持ち込まれるのである・・・意外な形で。そこか。
「人は自分の見えないものを想像して、そこに見えない敵を作る。」(p.197)というのが、今SNSだの世間だのに蔓延してるよなぁ・・・物語から飛び出して、現実、3次元の世界へ。
検疫されちまった方が気楽なのかもしれない。そんな国・・・世界が面白いのか知らないが。つまらないな。でも免疫は多少必要かも。
そして「アメリカン・ブッダ」。
”大洪水”が起きて”Mアメリカ”という、生身の体・脳を凍結させて精神世界をコンピューター上で走らせて暮らすアメリカの話である。
或る程度自由が利く。全てにおいて悠長。
”Mアメリカ”の人々に”奇跡の人(ミラクルマン)”というインディアンの青年が仏教を解き、呼びかけるのを、半ば娯楽のようにして観ている。
彼個人というより、彼の居るアゴン族が仏教を信奉しているのである。
大分アゴン族独自の仏教として伝わっているのですな。その違いが面白かったりする。
(改めて仏教について知っていきたいような)
ミラクルマンの語り(呼びかけ)と、Mアメリカでの主人公が暮らし、考える様子が繰り返される。
その”大洪水”、始まりが流行病だったりする。
ミラクルマンの呼びかけに揺さぶられる・・・ようでもしかしたらMアメリカにも無理があったのかもしれない、段段おかしくなっていく。
その様子が此れを読んでる自分がTVで観るアメリカとリンクしていくようで怖いとさえ思う。
Mアメリカの人々は更にその先へゆくのだが、現実はどうなるんだろうね。
比較するのも野暮なんだけど。

その他。
雲南省ス―族におけるVR技術の使用例
伊藤計劃トリビュート2で読んだっけか。VRに始まりVRに終わる短編集。
スー族の人をVR世界から出すと発狂するように、ス―族のVR世界を我我が見たら発狂するんだろうな・・・。
文化の違いで見えてるものが全然違う、というのがVRで表現されているのだろうか。そんな事を考えた。
・鏡石異譚
各章が「遠野物語」に出てくるような妖怪・怪異の名前。しかし描かれるのはILC、国際リニアコライダーを巡る少女の話。
何で岩手なんだろう?土地が確保出来たから?と思ったが、その理由が解った・・・ような気も。
妖怪・怪異も科学的に説明がつくのだな・・・という話ではないと思う。
・邪義の壁
凄い壁。色んなもんが出てくる。出てきたもの解析するだけで”異常論文”*1出来そうなんだが。
・一八九七年:龍動幕の内
「ヒト夜の永い夢」前日譚。
sociologicls.hatenadiary.jp
読んでなくても楽しめるが、「ヒト夜~」読み返して「あああの時の」となりたい。

フィクションの筈、平成・令和の世の中を当てこすってる訳でもないのに、読みながら現実世界を考えてしまった。
でも悪い気はしない。
今を生きていく拠り所というか、みんな此れ読んだらもうちょっとマシな世の中になるんじゃね?
というか現実がSFっぽ過ぎてオーバーラップするよなぁ。。。

※21:30 追記
とか延延と書いたが、単に「アメリカン・ブッダ」のラストについて「な?すごない?」と人に言いたいだけなのかもしれない。なむなむ。

*1:今募集されてるらしいです、詳しくはSFマガジンとか検索してみそ