社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

キネマの神様

昨晩から今朝にかけての風が怖かった。
台風みたいに吹きっぱなしではなく、思い出したようにぶわーっと凄い音で。

「キネマの神様」(原田マハ/文春文庫)読んだ。

キネマの神様 (文春文庫)

キネマの神様 (文春文庫)

主人公・歩が色々あってデベロッパー会社を辞めたのと同時に父・ゴウが倒れる。
父は一命を取りとめたものの借金が発覚。映画とギャンブルが止められないらしい。
父の管理人日誌に挟んだ歩の映画の感想を雑誌「映友」に投稿したら編集長の目に留まり、歩は「映友」の編集部員となり、父は「映友」のHPで映画ブログを始める。
ブログのタイトルは「キネマの神様」、神様に映画の報告を捧げるという形。
取り上げる映画は長年通ったテアトル銀座で上映されたもの。
色々あって英語版HP作ったらゴウさんのブログにローズ・バッドなる人間の反論めいたコメントが付く。議論を見守る編集部とサイト閲覧者。
なんか盛り上がってきたが・・・映画は、キネマの神様は家庭を救うのか?
以下ちょっとネタバレあるかも。




キネマの神様、色んな人・場所を救っている。
テアトル銀座は歩の元・勤め先のデベロッパーが作るシネコンの影響を考えて閉めようとするが、ローズ・バッド、ブログのファンその他の人々のお陰で閉店を回避する。
ゴウさんは映画の感想を書く事でギャンブルから少しずつ離れるし奥さん(歩の母)は好きな映画を見つけ、夫婦仲も少しずつ良くなる。
英語版HPに関わる歩の元・後輩も父と和解(?)したし、引き籠っていた編集長の息子もゴウさんお勧めの映画を観る為に外へ出るようになった。
「映友」も色々あるけど何とか続けていけるようだ。スポンサーを気にせず自由に議論出来る場所を守りながら。
ローズ・バッドは海外の著名な映画評論家、敢えてダークサイドを見つける評論スタイルだったがゴウさんと議論するうちに映画を純粋に楽しんで観る事を思い出す。孤独だったけどゴウさんとは”強友(とも)”みたいになれたし。
(因みに正体はテラシンかテアトル銀座関係者の誰かだと思ってた)
「そんなに上手く行くんか!」なエピソードてんこ盛りなのでゴウさんとローズ・バッドは生身でも会えると思ってたよ。。。
流石にそこまでは上手く行かないもんだな、人生。
歩とジョーが変にくっつけられる事も無くてよかった。そういうのはほんのり、でよいのだ。
読んでてじーんときてしまった。
心がほかほかする。

片桐はいりの解説も良かった。
ゴウさん、作者のマハさんと映画館ですれ違ってたのかも、というのがドラマチックで。

それにしてもゴウさん、志村けんぴったり過ぎる。
キネマの神様を持ってしても、志村けんを新コロから守れんかったんか。。。チクショー
映画どうするんやろね。
あらすじ見たが・・・かなり変えてるっぽい。
それはそれで山田洋次監督の映画が観たい人のニーズには応えてるのかもしれない。
コメントの応酬は映画にしづらいだろうし。

どうでもいいニュース:
映画では菅田くんが歩なんだと思っていた。女性主人公を男性にしました、なのかと。