社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

トランスヒューマンガンマ線バースト童話集

編集の方々、結構SNSチェックしてはるもんなんだな。

「トランスヒューマンガンマ線バースト童話集」(三方行成/ハヤカワ文庫JA)読んだ。
良き。

(↑Kindle版だが文庫版よりこっちの方がちょっと可愛いと思っている)
どういう本かというとトランスヒューマンの世界にガンマ線バーストが降り注いだりその影響受けたりする童話集である。
そのままやんか。
「シンデレラ」「竹取物語」等の童話をそういう世界にぶちこんだらこうなりました、めでたしめでたし。
トランスヒューマンというのは超人類、肉体から解放されて精神は計算機やらなんやら好きな所に居られる、物理的な世界に現れたければ好きな”具体”を使えばOK。
ガンマ線バースト、詳細はググって頂くとして、要は恒星が崩壊して放たれたすっごいエネルギー。超絶大災害。
そんな世界の童話集。
がんがんSF的なキーワード出てくるけど、くるっくる話が進むのであんまり悩まなくて済む。
ハッピーだし軽快だし、おにゃのこが殺し合わないし脳みそひん剥かれないし原形留めてるし次元も世紀も増えないし可愛く描かれてるし。

「竹取戦記」が一番好き。
竹取の翁が竹林で赤ん坊見つけて・・・というのは「竹取物語」、「宝来の玉枝」的な要素もちゃんとある。帝の顎は張り出している。(某アニメ映画もオマージュしてるというのか)
だがそこはトランスヒューマンの世界、自由自在。
ただの植物ではなくなっている竹とも戦うしうっかり朝廷の監視カメラに侵入したのバレるし其れを逆手に取ってカグヤ自らの身体を調べさせようとするし帝ともドンパチ戦うし。
あと竹が可愛い。「ころすぞたけどろぼう!」なんて言い返す。口(?)は悪いがいい奴である。
スノーホワイトホワイトアウト」も好きだ。
折角女王は現実世界からこの世界に没入したのに・・・なんだか切ない。
「地球灰かぶり姫」は「科学って魔法!」なとこが楽しい。

其其は独立してそうで、繋がっている。
最後の「アリとキリギリス」で「そうだったのか!」と一つに繋がるの、面白い。
そういえばこの作品だけ元ネタ童話のタイトルがそのまま付けられているな。

noteに「地球灰かぶり姫」がまるっと掲載されていた。大盤振る舞いだなぁ。
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