社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー

本来ならば5/21はバの字観に行ってる筈なんだが、延期。
山さん来ないのに大雨降るし不貞寝しようず・・・と思ったが前日にあれやこれや段取り頼まれて、不在の際の段取りが面倒なんで出勤する事にした。
上司に「怒ってない?」と言われてしまったが、そんな風に見えたんだろうか。ありゃりゃ。
新コロに対しては怒ってるんだが、職場の人に対しては全く怒ってないです。
出勤してみれば予定変わってた、担当者が大変だなーとは思ってた。

「折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー」(ケン・リュウ・編/ハヤカワ文庫SF)読んだ。

SFとは説得力があるなら何を描いても自由な文学だと考えているが、今いま現在の中国はどうなんだろう。
都合の悪い情報を遮断するように、SFを捻じ曲げたり勝手に“文学的メタファー”とやらを無理やり嗅ぎ付けて弾圧しないか、今は大丈夫だけど此の先どうなるのだろうか。
そして此の本が出た2018年から今いま現在2021年の間に随分変わってしまったように見える。
編者は「SFは夢の文学」であり政治的背景や風刺等を考えずに読んで欲しい、と繰り返しておられるが。
ちょっと難しかった。
そういうのがどうしても滲み出てしまうのも中国SFの特色、中国出身・在住の方だから書けるSFなんじゃないだろうか。
中国版「ポストコロナのSF」が出来るとしたら、どうなるんだろ。

どの作品も面白かった。美しいのだ。詩のような作品もあった。
糖匪「コールガール」、程婧波「蛍火の墓」とか。
夏笳好きかもしれない。
ふんわりとして童話のような親しみやすさもあって、なんだかとても切ない。
郝景芳「折りたたみ北京」は映画化が決まっているらしい。
なんかわかる。シネ・リーブルとか元町映画館とかでやってそうな感じ。
劉慈欣「円」は「三体」の一部・・・と聞いて想像してたのと全然違ってた。
作者のエッセイの最後に「あらゆる可能性の中から最悪の宇宙を書いたのは、われわれが最良の地球を求めて努力できると願うからである」とあって、新コロだのなんだのあっても、想像力さえあれば、文化が”自分らしく”生きていられるのであれば、まだ大丈夫なのかもしれない・・・と思った。
それにしても郝景芳「見えない惑星」の「でも世界には真実がたくさんある。そのうちの一つを知っているからといって、どうだというのですか?」は怖い。
真実は一つではない、色んな見方をしよう・・・という事であれば良いが、ヤバヤバ陰謀論どっぷりの人がそうなるとどうしようもないよなぁ、と。

ところで、中国SFアンソロジー、色々出てるみたい。

「時のきざはし」の方、出版社HPの説明によれば”清朝スチームパンク”があるとか。
何それめっちゃそそられるやつやん。

どうでもいいニュース:
日本のオレンジ文庫とか富士見L文庫とかにある中華ファンタジーあるやん、あれでゴリッゴリのSFやったらどーだろ。