社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

山手線が転生して加速器になりました。

夕方のニュースで誰かが「誰が政権取ろうとも日本としてどういう立場で外交するかを考えるべき」みたいな雰囲気の話をしていたが、個人もそうなのかもしれない。
誰が政権取ろうとも、世の中どうなろうとも、自分はどうあるかをしっかり考える。

「山手線が転生して加速器になりました。」(松崎有理/光文社文庫)読んだ。

山手線が転生?加速器?お前は一体何を言っているんだ・・・と思われる方も1人位はあるかもしれないが、そういう話なんだから仕方がない。
2019年末、エボラ出血熱を上回る致死率・感染力を持ち頻繁に変異する伝染病に未曽有のパンデミック、打つ手が無いので人々は都市を捨てて辺鄙な場所へ分散していった。
すると都市機能である山手線は放置されたまま、じゃあ其れを活かして加速器にしましょうね、自律運転の為に意識も持たせましょ、という。
円になってるもんなぁ。
中央線も線形加速器になっている。
意思もあるから恋もする。
じゃあそんな世界で人間はどうなったんだ?という話も収録されている。
山手線使って研究もするし、未来人が来ない事を証明して欲しい子供が居て研究者が一生懸命考えたり、オーダー受けてリモートで料理したり、人間が行けない所へ案内する旅行社があったり、マダコを巡ってインタビュー受けたり・・・宇宙人も居るかも?
此の時代の山手線にとっちゃ人間というのは個別の生物じゃなくて住むとこで見分けるんだな。
いきなり地方で暮らす事になろうと、伝染病の影響を受けようとも、リモートだろうとも、騙されようとも、へこたれない。
其の時々で出来る事を全力でやって、全力で生きてる。
”全力で”なんだけどもっとナチュラルというかいい感じに肩の力抜けてるというか軽やかというか。
読んでいてすごくほっとした。読んで良かった。
年表もとてもしんせつ!お店とか人間の其の後とか気になるじゃん。

世界がどうなろうとも、明るいもんは明るく、生きていくのだ。
かくありたい。。。
クソ過ぎる世界であっても、生きていく為の灯りや甘みをくれる存在でもあるのだった、SF。

そういえば松崎さんの「シュレディンガーの少女」もすっげえポジティブだった。
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