「光っていません」(イム・ソヌ、訳:小山内園子/東京創元社)読んだ。
今回、ゲラ読みキャンペーンに当選したので発売より早く拝読したのである。
わーい!ありがとうございます!
以降、そちらに送った感想とだいたい同じような事を書いているので、もし公式で感想拾って貰っていたら「同じやんけ!」かもしれない。
どの作品でも日常がひょこっと変異する。
そして喪うという事について描かれた作品集だと思う。
何気ない文章が美しくて切なくなる。
特に「幽霊の心で」は読んでいて切なくなる、ざわざわする、めっちゃ泣きたくなる。
若しおんなじように自分の隣に自分の幽霊(?)が居たら、すっげーバタバタして落ち着かなかったに違いない。
「光っていません」は変種のクラゲによって人間が光るクラゲになっていってしまうのを手伝う女性の話だけど、クラゲになり切れないまま光れないままの顧客の姿がなんか悲しい・・・悲しいっていうのも失礼なんだけど、なんか成仏し切れないというか其の報われなさに泣きたくなるというか。
多分自分がクラゲ化するとしたら、同じようにクラゲになり切れないまま光れないまま、想いを残したまんまなんだろうな、と思ってしまった。
なんでこんなに哀しくなるんだろう、なのにどうして前を向けるのだろう。
ポップな絵に水彩ですーっと色を刷いたような感じである。
一方で「見知らぬ夜に、私たちは」みたいなヘヴィな作品もある。
此れ地味にきっついわぁ、「82年生まれ、キム・ジヨン」を思い出すような感じの話。
(あそこ迄ヘヴィじゃないか)
夫も舅もデリカシー無さ過ぎである。
十字架背負って伝道とやらをしてる人達もそういう目に遭ったのかな・・・と思った。
何で女が十字架背負わされてんねん。
夫と舅が十字架背負って反省しやがれ。
そういえば「幽霊の心で」にキム・ジウォンという女の子が登場する、キム・ジヨンに名前が似ている。
キム・ジヨンというのは韓国の女性のあり触れた名前なんだっけ、という事は此のジウォンは何処にでもいそうな普通の女の子、みたいな存在って事なんだろうか。
正直、「幽霊の心で」「光っていません」の余韻に浸っていたかったような、でも其れじゃ生きていけないから後半の作品達にお尻引っぱたかれて「さぁ行くよ!」と一緒に歩き始めるような感じで読み終わった。
また浸りたくなったら”おかわり”して読んで良いですもんね。