社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

ゴーストケース 心霊科学捜査官

「ゴーストケース 心霊科学捜査官」(柴田勝家講談社タイガ)読んだ。

こないだの「アメリカン・ブッダ」で柴田勝家ブームが一気に来たのでゴーストケースシリーズ3冊合本版を買った、後悔も反省もしていない。
霊子科学によって幽霊現象が解明された時代(世界?)の話。
科捜研的な感じで霊捜研があり、そこに赴任してきた心霊科学捜査官・御陵と警視庁捜査零課の刑事・音名井のコンビで幽霊事件を解決するミステリ。
あるアイドルのCDを聴いた人が連続して自殺するという事件。
そのCDには「こっちに来て」という声が入っている。
連続自殺事件を追ううちに殺人事件も発生。
さてどうなる?

キーとなるのが”怨素”。
大気中の霊子を体内で感知すると幽霊を見たり影響を受けたりするのだが、死ぬ時に無念や未練といった強い負の感情を発すると霊子を怨素に変えてしまう。
殺人犯には被害者の怨素が付着する訳で。
それを調査・追跡する事で犯人が解る・・・のだが性質上そこらへんにトリックが関わってきたり。
御陵は陰陽師なので様々な呪術を使うし、霊子を使って捜査以外の事も出来たりする。
最後はちょっとほろっときた。
あとアイドルとファンの関係。
確かに宗教に似た所はある。推しへの気持ちはほんと強いし、ライブという場での高揚感もばりばり強い。

アイドル同士の嫉妬、ファン同士の嫉妬、アイドルとファンの歪な人間関係・・・あの子に負けたくない!運営が贔屓する!あいつばっかりファンサ貰ってずるい!俺はこんなに愛しているのにつれない!、みたいなどろんどろんが事件の背景にあるのかと思っていた。
気持ちの行き違いはあるものの、みんな優しいのである。
和みますな。(ばかばか人は死ぬが・・・)
単推しが少なくて「ご新規さんだ!」と歓迎されちゃう、というのもあるけど。
因みに柴田さんはデレマスのPとの事。
3次元のアイドル事情にもお詳しいのだろう、アイドル現場にあんまり違和感が無い。コンセプトカフェに関しても然り。
たまにあるやん、旬だからか目新しいからかよくよく知らないまま作品に取り込んで「あー貴方からはそう見えるんですねー貴方はー」みたいになってない。
(とか書いてる自分はそんなに詳しくない、なのでアイドルの現場やコンカフェ通ってる人からしたらツッコミどころはあるのかもしんない)

トリックというか謎解き部分も面白かった。
こういう世界だから幽霊になっても殺人出来ちゃったりする?殺したかったら生きてる人利用する?と考えたり。
殺害された時刻にその場に居なかった人が怪しいがそこんとこどうなる?とか。

ていうか基本的に柴田さんお優しい方なんだろうなぁ。惨くない。
自分の中でブーム来てるのはそういうとこかも。
えげつなくないし読み終わってほっとする、だがかっちり書かれているので詰めが甘くなくて「ああッなんかもどかしいッ!」「そこちょっとどーなってんのッ!?」てならなくて済む。悪い人も出てくるし、悪い理由もちゃんとある。

どうでもいいニュース:
電書の合本版で読んだので、此処に表紙貼るまで御陵はロン毛だと勝手に思っていた。