社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

沖縄怪談 耳切坊主の呪い

今週のお題「最近おもしろかった本」
ちょうど良いタイミングで此のお題。

「沖縄怪談 耳切坊主の呪い」(小原猛/竹書房怪談文庫)読んだ。

琉球奇譚」とは少し切り口が違って、ユタ、イチジャマ、キジムナー等について説明しながら、其其に纏わる怪異について集められている。
水木先生のお描きになるキジムナーは、沖縄で伝えられているのとちょっと違うそうである。
(という話を京極先生に確認取ってはるん流石である)
「歴史は勝者が作る」なんて言うけれど、耳切坊主の話もそういう経緯を辿ったのかもしれない。
呪いは、呪い其の物でもあり、戒めでもあるとか・・・とちょっと考えた。

印象に残った話等。
・エギリドリ
疫病・戦争が流行る前に現れるという鳥の話。
神様をもってしても、どうしようもないのだろうか。
人間の心がけ次第・・・とはいえ沖縄以外の人に伝わるのが難しい、此の話をされた方が仰るように誰が信じるのか、信じられたとしても騒がれて終わりなのでは。
伝えられる位なら、揉め事も戦争も起こらないし疫病で分断される事もないだろうし。。。
・永遠の遠足
恐らく目的地に辿り着ける迄ピクニックを繰り返す事になるんやろうと思うが・・・辛い。
那覇-屋慶名線
真夜中にバスに乗せられた話。
「永遠の遠足」とは逆に自力で”繰り返し”から抜けられたんだろうと思う。
話しはった方が「乗らなければどこに行ってしまったのだろう」だけど、逆に運転手が「乗せなければどこに行ってしまったのだろう」だったのかも。

スピみたいな奴等、結局利用するだけして途中でポイして去っちゃうんだな。
琉球を変える」ってそうそう変えられるもんじゃないし歴史のある所なんだから、龍神がどうのこうの言ったって真っ当に生きられてない人にはつかないだろうし万が一ついたって愛想尽かすでしょうよ。
そういう話から「直接聞いたらいい?」って仰るユタさん凄い。
何にせよ「外/他から変えてやる、作用してやる」っていうのは傲慢なのかもしれない。
ユタさんであっても、他人を呪ったのが自分に返ってくるそうだし。

様様な怪談があって怖がったり不思議がったり(面白がったり・・・はちょっと不謹慎か)するけど、突きつけられてる内容は実は重い。

しかし某芸人、よりによって小原さんの話をパチるとは・・・。
沖縄在住で話を蒐集するだけじゃなくて、実際にお祓いの現場にも立ち会われてる位の、其れだけ信用も回数も重ねてらっしゃるような方なんだが。
小原さんに限らず、怪異話って取り扱いがデリケートなんでは。今溢れてますけど。
書こうとしても書けない、語ると障りがある話もよくある話やん。
実際に取材・インタビューして”把握”した上で書く/語るんじゃないって事は、「何処迄書いて/語ってよいか」の匙加減も出来ないだろうし。
小原さんではないが、蒐集した話を「お預かりする」と仰る方もあるのに。
あの件は権利以外の所にも問題があって、寧ろそちらの方が大きいし融通が利かないんじゃないだろうか。