社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

菊乃、黄泉より参る! よみがえり少女と天下の降魔師

此処んとこ好きな作家さんが新聞連載小説書いてはるのが続く。
其れだけでも嬉しいのに、「楽しみです」って投稿が読者欄に増えてきて嬉しい。

「菊乃、黄泉より参る! よみがえり少女と天下の降魔師」(翁まひろ/角川文庫)読んだ。

主人公・菊乃は”男姫”と呼ばれる位正義感に溢れた武家の娘、嫁いだ先で病気で亡くなった・・・筈なのに何故か幼子として黄泉がえった。
偶偶見かけた息子は情けない事になっている。
そして出会ったのが降魔師(ごうまし)を名乗る鶴松。
色々あって鶴松の元で成仏の手掛かりを探しながら薬種問屋の獣の化け物退治を手伝う事に。
丁度犬公方・徳川綱吉が亡くなった頃、”犬病”なる病が流行っている。まさか犬公方の呪い?
一応時代小説、なのかな。
感覚が現代モノっぽい箇所も。

登場するキャラクターが個性豊かである、黄泉がえった菊乃がなんか可愛らしい。
幼子である体に戸惑いつつ、前世(?)の男姫かつ武家の妻である気遣い・優しさは持ったまま黄泉がえってるのがミソなのかな。
鶴松だって只のド派手な兄ちゃんではない、色々訳アリである。
菊乃が残してきた息子だって色々ある。
ひたむきに頑張る人は頑張るし、悪い奴はとことん悪い。
角川文庫キャラクター小説大賞受賞したん、解る気がする。
もし映像化するなら、めっちゃ映えるやろなぁ。
わかりやすく勧善懲悪、下手に「悪い人にだって事情はあるんです!良い人だって悪いところはあるんです!」とはならない。
却って読んでてすっきりするねぇ。
後味も悪くない・・・と言いたいが、犬好きは読んでてちょっと辛いかも。
怪異・あやかし・特殊能力が都合よく出てこない、ちゃんと理由があって出てくるのも良かった。