社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

グラン・ヴァカンス

もっささぶいのでニット全部出してきた。

「グラン・ヴァカンス 廃園の天使Ⅰ」(飛浩隆/ハヤカワJA)読んだ。
これ、しんどいやつや、と思った。
”終わる”のを解ってて読まなきゃいけないから。

仮想リゾート「数値海岸(コスタ・デル・ヌメロ)」の一画「夏の区界」をある日突然現れた"蜘蛛”が、全てを食い尽くして無にしていく。
震災のようだ。
・・・と思ったら更に天使がいるのか。
でも考えようによっちゃ天使は虐げられた区界を解放してるようにも見える。
「夏の区界」はただのリゾート地ではなく、住人であるAI達を虐げていく事が出来る。というかその為の区界。
それがあまりにえげつなくてなぁ。
少なくともみんなの苦痛を、止むことのないまま自分の武器にしちゃうランゴーニよりはマシなんでは、でもそっちは天使に虐げられてるんですかね。
ゲストである人間に酷い目に遭わされるのと、その役割から解放される代わりに別の苦痛食らうのと、どっちがマシなのか。
どちらにしても救いは無いような。
とはいえ、視点を何処に置くのかで変わってくるのかもしれないし、この後に読む物語によっても変わってくるのかもしれない。

しかし、人間ここまで残虐な事やりたいもんなんですかね。
この次の「ラギット・ガール」も読んでるが、わりとえげつない。
仮想リゾートでゆるーっと過ごしたい人ってのは無いのか、この物語世界では。
作者が描きたくなかっただけなのかもしれないが。