社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

播磨国妖綺譚 あきつ鬼の記

世の中悲しい事だらけ、其れ以上に腹の立つ事だらけ。
お蔭で毎日血圧高いったら。
少なくとも、災害絡みに湧くスパムは全部消えて欲しい。
被災者騙るスパム迄居た。

播磨国妖綺譚 あきつ鬼の記」(上田早夕里/文春文庫)読んだ。

時は室町時代播磨国の法師陰陽師の兄弟の話。
兄の律秀は薬師として漢薬を使った医術を行い、弟の呂秀は物の怪が見え、僧として祈禱を行う。
律秀は物事の理に拘る、だけど弟の物の怪が見える性質も「それでよいのではないか」と受け止め、活かしている。
そしてある事件を切っ掛けに呂秀は主を失った鬼に”あきつ鬼”と名付けて使役する事になる。
猿楽師の病を診たり、都から来た天文生を迎えたり、山の神の困り事を助けたり、武者の亡霊の望みを聞いたり。
兄弟、そして「鬼は人ができぬことをする、人は鬼ができぬことをする」という呂秀とあきつ鬼のコンビネーションが見事。
祓うんでもなければ、共存するというのともちょっと違う、でもちゃんと落ち着くところに導かれていく。

上田さんがこんなに柔らかな作品もお書きになるとは。
今みたいな時に読むのに良い、やさしさのある短編集である。
しかし此の1冊分の物語が壮大な物語のプロローグのようである・・・と思ったら続編出るみたい。
楽しみ。