平成の最終日。
とはいえ年末年始同様、続く日々のうちの一部でしかない。
同じように暮らしていくのですよ。
(とはいえ、晩ご飯はカレーにすればよかった、年越し蕎麦にすれば作るの楽だった・・・とは考える)
- 作者: 柴田勝家
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2019/04/18
- メディア: 文庫
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超心理学研究者・福来に誘われて南方熊楠は「昭和考幽学会」なる秘密団体の会合に参加する。
異端学者の集まりですな。
彼らの叡智を社会に役立てる為に・・・と考えられたのが”天皇機関”なる人造の神を作る事である。
秘密団体なので、出席者は黒衣で顔を隠して参加・・・中にはよからぬ企みを持つ者も。
一方で”天皇機関”は着々と作られる、が少女なの!?
これはこれで個人の思い入れが。
自ら思考させる為に用いられるのが粘菌コンピュータ、賢者の石。
実際、粘菌コンピュータは研究されてるらしい。
地図かなんかの上に粘菌置いとくと、ちゃんと実際の電車の路線図の形になっていくんだっけか(ちゃんと確認してない、うろ覚え)。
で、出来た”天皇機関”を実際の天皇陛下に会わせようとどったんばったん、そして二・二六事件へ・・・という話。
これが面白くない訳が無い。
特に天皇陛下に会わせるまでの第一部が面白かった。
物語が波打ってて。
第一部で残された謎を解く為の第二部・第三部・・・と思った。多分ちょっと違う。
以下、ネタバレ的な何か。
”天皇機関”は何故か熊楠を知っている、そして予言をする。
それは「想像できる全ての世界を見ている」から、分かる。
全ての中から”その条件下であり得る選択肢”を示すのだって、訳ないんだろう。
そして。
夢の世界は楽しい、でもそれだけじゃない筈。
仮令、無限に分かたれた世界から、より都合の良い世界を選べるのだとしても、だ。
全ての人の夢が溶け合った・・・として、コンフリクトしないのだろうか。
ぱちーっと合えば、まぁ幸せなのかもしれないが、相容れないとしたら。悪夢まで溶け合ってしまったら。
あの人とわたしの夢が溶け合ってしまったら。わたしの妄想があの人に見られてしまうのか。あの人だけじゃなく兎に角他人に見られてしまうのか。
うっわ、そんなん怖い。
因縁の糸に縛られるのも面倒くさくはあるのだろう、でもその方が幾分かマシだ。
粘菌的に考えたら、別々の個体のようでひと繋がりでいいのかもしれないが。
結局大元で繋がって共有されてる・・・というのは粘菌目線のベストでしかないのでは。
人間はまた違うベストがありますわな。
・・・等と「ヒト夜の永い夢」を読んで感想をだらだら書いている自分、その内容も、また誰かの夢なのかもしれない。
少なくとも、平成の終わりにコレ読んでる、というのも何らかの因縁なんだろう。幸せな因縁である。