社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

あれから30年

阪神・淡路大震災から30年。
もうそんなになるのか。
1/17と其の前後しか話題にしないのは良くない、という話もあるけど、其れでも話をして良いんじゃないか。
改めて話をしやすいタイミングというか、ずっと話をしたとしても他人には「また話してら」で終わらされそう。
家人と話をしていても温度差を感じる。
当時の家人は大した事無くて良かったんだけど、其れで済まされるのがしんどい。
自分も大した事なかったのに。
何でやろな、入試受けに行く道中に色々見たからか、こんなんでも未だに衝撃が大きいからか。
其れだけの時間が経ってしまった。

新聞記事も増える。
元から折折に震災に関する記事・連載はあるけども。
こんな事があった、こうしていくべきだった、記録を残そうってなるのは或る程度復興した、折り合いが付いた、道筋が付いたからかも。
今年は「被災地責任」という記事も見た。
大事な事である。
ただ大変な目に遭って30年経っても癒える事が無い方だって少なくないのに、「責任がありますよ」と言うのは辛いなぁ、と思った。
各地の事情があるし。
東日本大震災の時、能登半島地震の時に呟きたい事はあったけど、果たして其れが今役に立つだろうか、邪魔にならないだろうか、と躊躇った事を思い出す。

1/10に放映された、NHKの「焼け跡からの再生~長田区鷹取東地区の1年~」という番組を観た。
鷹取は入試受けに行く時にJR付近を歩いたが、あの時に目にしたのはほんの一部の端っこでしかなかったのだな、と。
あそこまで全壊して焼けてしまったとは恥ずかしながら存じ上げなかった。
10月頃でもまだ更地だった、こうして観てると神戸の復興だって時間は掛かっていたのだ。
瓦礫だってただの瓦礫じゃない。
親御さんが子供さんの持ち物を瓦礫の中から見つけ出しては壊していってはった。
亡くなった人の持ち物として“渡して”いく、と仰っていた。
其れをちゃっちゃと片付けて「はい復興!」なんて簡単には出来ない。
あの番組は色んな人に観て貰いたかった。

能登半島地震に関しては、個人的にはボランティア来ないで、も来て、もどちらも間違いじゃなかったと思う。
ぶっちゃけ、現地の方以外が外からやいやい言うのは違うと思った。
矢鱈遅い遅いって騒ぐ人、政治に対してはそれで構わないんだけど、大切な故人の持ち物を「渡してあげなきゃ」って壊していく人の気持ちを推し量る事は出来るんだろうか。
ただの瓦礫じゃない。
能登でも避難してる間に片付けられてしまって持ち出せなかった・・・と仰る方の話を見た。
早く復興を!も正しいけど、早ければ良いとは限らない。
時間を掛けるべき事もあるのではないだろうか。
1か0じゃない、0.7589や0.236だってあり得るのに。
1か0にせざるを得ないとしても、其の中間を蔑ろに出来ひんやろ。

そして高校の友人と遊ぼうってなってうちに招いた時に、家が全壊した友人が「電信柱真っ直ぐ立ってる」って驚かれた事を思い出す。
同じ市内なのに違う被災状況、電信柱も家も建ってる、駅の看板が地べたに落ちてない生活を見せた事の酷さに今更気づいて落ち込む。
小松左京の「大震災’95」に拠ればほんっとに限られた範囲で甚大な被害が出たそうである、けども。

神戸新聞は時々震災に関するアンケートを行っている、其の中に「心の支えになったのが歌」という方が多かったようで、改めて特集が組まれていた。
自分は具体的に此の歌の此の歌詞が、というのは無かった。
そんな余裕無かったというか、音楽が聴けるだけで良かったというか。
因みにSMAPの「がんばりましょう」が厭だった。
「とりあえず」ってのがすごく厭で。
言われんでもみんな必死で頑張っとるわ、「とりあえず」なんて余裕無く頑張っとるわ、此れ以上頑張れ頑張れって!
あと「涙の数だけ強くなれる」なんて、なーんもないとこの人だから言えると思った。
当時からメンタルおかしかったから「他の人の大事な人達の代わりに自分は死ねなかったんだ」って泣いても泣いても強くなられへんかった。
震災と歌というと、先輩のライブを思い出す。
ハーバーランドのとこのステージで「被災地の大学生が頑張ってますよ!」という音楽イベントがあって、同期の子と観に行った。
自分らの前に座ってたおっちゃんは、近くの仮設住宅か避難所にいらっしゃったそうである。
先輩の出番の時にせーので名前呼んでる我我を見て笑ってはってんけど、先輩のバンド(ユニット)が「妹よ」「Sweet Memories」等を歌い始めたら泣いてはった。
おっちゃんの胸中はどうだったか存じ上げない、ただ歌の力ってそういう事か・・・と思った記憶がある。
自分らでも先輩の歌聴いて泣きそうだったもん。

今年も置いときます
20年前の話 - 社会学的ラブソングアーカイブ

20年前の話2 - 社会学的ラブソングアーカイブ

重複するけど、此れも
試験の思い出 - 社会学的ラブソング・改