どうせ遅れるだろ、と普段より早いバスに乗ろうとしたらほぼ定刻に来た。
怖い位めちゃくちゃかっ飛ばす運ちゃんだった。
なるほど。
「わたしたちが光の速さで進めないなら」(キム・チョヨプ、訳:カン・バンファ、ユン・ジヨン/ハヤカワ文庫SF)読んだ。
こないだイム・ソヌ「光っていません」のゲラ読みキャンペーンに当選して読んだとこだが、韓国の女性作家のSF・ファンタジーが地味にアツいのかもしれない。(「光っていません」の感想は其の内書くです。)
文章が美しくて優しくて柔らかい、引っ掛ける所は無いのだけど凄く心惹かれる。
あと翻訳物だけど読みやすい。
だけど女である事のままならなさからは解放されない、どちらの短編集にも1作はある。
フェミニズムの主張丸出しじゃないから余計に刺さる、考えさせられる。
女ってだけで何で名前を失ったり世間から断絶されたりしなきゃなんないんだろう、色々言われなきゃなんないんだろう。
ちょこっとずつ感想。ネタバレあるかも。
・巡礼者たちはなぜ帰らない
どんなに苦しみや困難があっても、あるからこそ愛なのか。
巡礼して帰って来る事もある、という選択肢があるのは良いなと思った。
いくら愛があって幸せでも、苦しいのは厭って人もあるだろうし。
・スペクトラム
スペクトラムとはそういう意味なのか。
そういえばスペクトラムに光を通すのも一方的ではあるな・・・って其れはスペクトルか。
分光器に通して光を見るやつ。
・共生仮説
リュドミラが絵にした惑星と脳解析を巡る話。
見た事が無い筈の、絵に描かれた光景を懐かしく思う理由、そうなのだとしたら腑に落ちるし良いし切ない。
繰り返してはるんかな。
・わたしたちが光の速さで進めないなら
誰もいない宇宙ステーションに残る老人の其の理由、其の後。
「わたしたちが光の速さで進めないのなら、同じ宇宙にいるということにいったいなんの意味があるだろう?」(p.166-167)。
同じ空みたく同じ宇宙と考えるには広過ぎるのかも。
せめて魂くらいは家族に会えますように。
・感情の物性
感情を物体にして人間に作用させられるようになった話。
物体化する事で見つめる事も出来るだろうけど、自傷に使うには手っ取り早いのかもしれない。
・館内紛失
死後のマインド・アップロードが図書館に保管される時代、母のインデックスが切れて”失踪”してしまう話。
母が自ら切ったんだと思ってた。
父も母を思ってたんだろうけど、じゃあなんで放ったらかしにしてたんだ?とちょっとモヤった。
失踪の原因を追いつつも、母になるから、やっと解る事が出来たんだろうか。
・わたしのスペースヒーローについて
宇宙飛行士として犠牲になったおばさんを追って宇宙飛行士になろうとする人、そして事故の真相。
全然違う方向ではあるけど、”女のままならなさ”からも飛び出して行けたのかな、ガユンもジェギョンも。
こちらも気になる。
※2024/11/06 追記
「きょうのはてなブログ」に拾って頂いていた。
ありがとうございます。
しかし誤解されてそうな・・・。
此処は実際にお読み頂いたら分かるのだけど、同じ空の下、と考えるように同じ宇宙の下って考えたらええやん、と思ったけど広過ぎて無理かー、というニュアンスで書いている。
文章書くの難しい。