社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

漣の王国

本日でこのおばか日記も18年(ダイアリー時代含む)。
今年もよろしくー\(^o^)/(栄ズン先生漫画の締め風に)。

「漣の王国」(岩下悠子創元推理文庫)読んだ。

才能も美貌も恵まれた青年を巡る4つの物語。
青年が既に自殺している事が、序章で告げられている。
其処から始まる、赤ん坊の父親の正体探し、失踪したシスターの卵の行方、遠い国から託されて届いた品、そして何故青年は自殺したのか、という謎。

不思議な小説を読んだ。
見事に繋がっているようで途切れてる、繋がってるのに途切れてる。
すれ違いのようだけど、すれ違う程も届かない。
多重に重なり合うのだけど、平面的ではなく立体的な重なり方をしているような。
だけどさらりとしているようで妙にごてごてしている・・・もう少し”流れて”いけば良いのに。
漣だから仕方ないのか。
漣感を出す為に物語を流れて往かせずに敢えてこの文章なのだったら巧みだな・・・。
・・・というのはさておき。
此れもミステリーというより人間の心を描く物語、なのかも。
(創元文芸文庫でも良かったのでは・・・)
美しいようで醜い、と思った。
宗教を絡めながら人の心の動きが描かれる、其の描かれ方が美しい。
しかし謎を突き詰めていくと醜い、というか酷いなぁと。
叙述ミステリー的な要素もあるけれど、ミステリーとして読むとちょっと物足りない感じがした。
其れ以外の要素に圧倒されるから。
バランスは丁度良いのかもしれないが。