社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

能狂言 鬼滅の刃 at 金剛能楽堂

みんな、山純観に奈良行ったと思うだろ?
ワテは京都行った!
「能狂言 鬼滅の刃」を観る為である。

「那田蜘蛛山編をお能にしたら?と」いう話は見た事あったし、去年能(と弾き語り)観に行った時に
sociologicls.hatenadiary.jp
鬼滅の能があるよ、と言う話を伺っていた。
観たかった・・・と思ったら京都で再演である。

キービジュアルは今回炭治郎を演じる方が演じる「翁」の写真を元に描かれた炭治郎との事。
書いてみたら、ぐるぐるするな。
一番後ろだぜヒャッホウ!と思ったら、御簾の奥みたいなとこだった。
其れは其れで気楽で良い。
以下、ネタバレ有り。
那田蜘蛛山編だけど村田さんとサイコロステーキ先輩は登場しなかったぞ、とだけ。
其の他思い出し都度たらたら書き足していくかも。





場内が暗くなり、琵琶の音が響く中、客席後方から洋装の鬼舞辻󠄀無惨が登場し、其の儘舞台に上がり乍ら語る。
そうして物語が始まる。
パンフレットに依れば「五番立」という形式、今回はプラスして「翁」としてヒノカミ神楽を炭治郎が父から受け継ぐ話が那田蜘蛛山編から切り出されて演じられていた。
家族が殺されて妹が鬼になってしまった事を炭治郎が語り、義勇さんが鱗滝さんに炭治郎を紹介、錆兎と真菰の下り、最終選別・・・までが第一部。
禰豆子の舞(夢の中の話との事)もちょっとある。
そして狂言は鋼鐵塚さんの話、スピンオフみたいな感じである。
まるっと那田蜘蛛山編やるんじゃないんだなぁ。
能として形式上は分かれているけれど*1、観る限りでは繋がって一つの演目のようになっている。
鬼殺隊の選別に送り出した炭治郎が直ぐ帰ってきて「早い!」って鱗滝さんが驚く等、能部分もユーモラスな箇所がある。
最終選別は帰って来た炭治郎が鱗滝さんに「こうだった」と報告する形で演じられる。
鋼鐵塚さんの話は凄くユーモラスだけど、鋼を熱い火に入れては叩いて水にジュッと漬ける、其の様子が実際の鍛冶のように伝わってくる。

第二部は平安貴族的な装束の無惨が登場して鬼になった経緯を語り、舞う。
切ない気持ちになる・・・が諸悪の根源だからなぁ。
そんなダークな雰囲気を一変させる狂言で、鎹烏の酒盛り。
炭治郎・善逸・伊之助の療養中の、文字通りの「鬼のいぬ間の命の洗濯」である。
鎹烏達も苦労してるんだな、チュン太郎がすごい可愛らしい。
そして3人が登場して語り合った後(鼓屋敷?ぽい話も)、那田蜘蛛山編。
ぶっちゃけ今回善逸の見せ所は此の辺り迄である。
少ない乍らもお客さんナンパして鴨川に誘ったりする。
福岡、愛知、横浜は何処に誘うんやろね。
そして那田蜘蛛山で鬼に遭遇するも霹靂一閃!
あの絶叫が能狂言でも再現されてるの凄い。
伊之助は蜘蛛の鬼の父とめっちゃ戦う。
橋懸かりで2人が戦う一方、本舞台では累と炭治郎が戦っている。
累は手から蜘蛛の糸をばんばん出す、何なら血鬼術で赤いのも出す。
炭治郎にも舞台にも糸が絡まる、ああ戦いながら累の場にしていってるんだな。
最早此処迄・・・な所で父が登場し、炭治郎がヒノカミ神楽で首を落とす
・・・も、落としきれず、義勇さん登場。
累は父母と共に東の明けゆく空へ、義勇さんと炭治郎は淡淡と去る。
・・・と思ったら炭治郎、橋懸かりで立ち止まる。
再び舞台に現れる洋装の無惨、客席というか鬼達に炭治郎を殺せと命じて幕を閉じる。

という事は、続編期待していいのかしらん。
狂言になるとしたら、上弦の鬼達のエピソードかな、猗窩座とか堕姫・妓夫太郎とか童磨vsしのぶさんとか。

今回は鼓・太鼓観るぞい!と思っていたが物語に没頭して観ていた。
鬼滅の刃」を少し違う見方で観るような。
其れにしても見事に各エピソードから絶妙に抜き出されて能・狂言になっている。
物語を描く方法が漫画・アニメと能狂言では全然違うのに、違和感が無い。
逆に「鬼滅の刃」を御存知無くて御覧になった方はどうだったんだろう。
あと鬼な、うぞうぞした鬼達は「此の舞台の為にどっかから化け物召喚しはったん?」という気持ち悪さだった。

今回の「鬼滅の刃」観て、初めて同じ舞台・同じ演目を何度も観たいという人の気持ちが解った。
もう1回観たい。
大阪は去年あったんだっけ、もう1回大阪・京都でやんないかな。
神戸は湊川神社能楽堂ありますって。

本日の出演者。

炭治郎と禰豆子同じ人が演じてはったん!鱗滝さん野村萬斎やったん!

どうでもいい追記:
無惨ですらマスクしてたというのに・・・

*1:というのはパンフレットを見て知った