社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

濱地健三郎の幽たる事件簿

恵方巻、とりあえず買ってきて永谷園の松茸のお吸い物かなんかと一緒に食卓に出したら晩ご飯むっちゃ楽、という意味では大変ありがたい。

「濱地健三郎の幽たる事件簿」(有栖川有栖/角川文庫)読んだ。

前作「濱地健三郎の霊なる事件簿」よりミステリーに寄ったような。
怪異の正体と其の解決、其れ自体が既にミステリーなのかもしれないが。
有楽町駅のホームで、ミステリー研究会の部室で、何なら濱地健三郎の事務所で怪異に遭遇する。
”居る”のが当たり前、其の上でほんのちょっとの”理解”で良い方に向かう。
人の想い、気持ちって強いんだ・・・という話が多いような。
其の一方であまりにも理不尽な話も。
何も悪くないのに自分を、家族を傷つけそうになる。
最終話も家族への想いで抗っているのだけど・・・。
何でそういうのに遭遇しちゃうんだろう、真っ当に生きてる人が。
最低野郎と遭遇してしまったら大惨事かも・・・とはいえ。
「時として理不尽さがもたらしてくれる幸福も失せてしまうんだから。」って思わなきゃやってらんないよなー。
確かに濱地探偵事務所に居て先生の傍に居る方が安全かもしれない。

しかし解説で触れられている人、有栖川有栖を神のように尊敬しておいて怪談作品は興味無いなんて・・・。
こういう怪談的要素も有栖川有栖の魅力のうちじゃないのかねぇ。
新本格みたいなんをばりばり書きはる人だから、怪談・ホラー的な話も面白く不思議に書きはるんちゃうん。
粗があるのを心霊現象で帳尻合わせる、みたいなんはやっぱりつまらない。
有栖川さんはそうならない。
ミステリーとしての骨格がしっかりしてるから、論理が有ろうと無かろうと破綻・無理が無く全てが成立する。
だから自分は此のシリーズが好きだ。