社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

首里の馬

今日というか今年は敢えて此のエントリを先に上げる。
本来書く筈のエントリは多分夜上げてるんじゃないだろうか。

首里の馬」(高山羽根子新潮文庫)読んだ。

不思議な小説である。
沖縄の資料館の整理をしながら”問読者(トイヨミ)”としてオンラインでクイズを読み上げていく未名子の家の庭に宮古馬が迷い込んでくる。
ファンタジーと言うほど現実離れしてない、でもお仕事小説・ミステリー的に現実を描くのでもない、SFじゃなさそうだけどクイズの回答者の居る場所はSF的でもある。
掴み所が無さそうでそうでもない、「オブジェクタム/如何様」収録作ほど解りにくくない。
馬が喋る訳でも無い、回答者との会話が元で世界が破滅する訳でも無い。
何処か空想の世界でも良さそうで、全然良くない。沖縄じゃなきゃいけない。
けど自分が想像する沖縄とはちょっと違う、色味が柔らかく感じた。
ほのぼのしてそうで、何処か物悲しさもある。
自ら変わろうとしなくても移ろっていく。
其の中で消えるもの、残されていくもの、保存・記憶されるもの。
特別な日も、普通の日も。
世の中そんなにくっきりぱっきりしてるとは限らない、ただふわっと其処に在って、其れがどういう意味を持つかは後の誰かが判断するかもしれないし、下手に判断されなくてよいのかもしれない。
そんなようなものを描き、小説として残していったのが「首里の馬」なんだろうな。
小説、文学ってそういう力もあるんだな。

「にくじゃが」「まよう」「からし」は何処だろうな。
what3wordsやってみようかと思ったが、アプリ入れなきゃいけないっぽいので、うーむ。
特定しなくても読者は想像したら其れで十分だし、此の3つの言葉を伝えられた登場人物が解れば良いんだろう。
(と書きつつググった。成程。)