社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

仕事ください

此の「まくら」部分に要らん事書かなきゃいいんだけど。
でも一応”日記”でもあるからなぁ、此のおばか日記。

「仕事ください」(眉村卓竹書房文庫)読んだ。

作品集「奇妙な妻」に単行本未収録作品等を追加した短篇集。
江戸川乱歩仰る所の「奇妙な味」の作品集、とは言い得て妙。
昭和に書かれたSFだが、平成・令和にも通じる。
世の中がどう変わっても、人間の根本はあんまり変わらんもんなー。
昭和のオフィスに実在したモノや昭和に思い描いたツールが、令和の今読むとレトロフューチャーぽいのが、なんか良き。
Ⅱ部に収録されている作品はヒリヒリしている。
何はともあれ、こうして短編が読めるのは有難い事である。
世にも奇妙な物語」でドラマ化されてもおかしくないかも、と思ったが、こういうSF読んで育った方があのシリーズ生み出したんかな。

後書き的な「変化楽しや?」の最後にさらっと書かれた一口話は今言うところのマイクロノベルだよなあ。
此処で「仕事ください」がラジオドラマ、TV(かな?)ドラマ化した時の話を書いておられるが、其其の時代にチューニングされても「仕事ください」が存在して、其其の時代毎に「暗い」「陽気ゆえにぞっとする」と思わせる事が出来る、というのは面白い。
眉村さんが仰りたいのはそういう事ではなくて、時代の変化についてだろうけど・・・SNSマイナンバー云々を頭に置きつつ読むとヒヤッとする。

面白かった話等。
・人類が大変
令和に刺さる。
陰謀論ゆんゆんの人等の謎行動も、こういう感じなのかも。
・・・いや、あっちこそがミュータントかもしれない!?
・セールスマン
セールスマン・トーナメントに出場する男の話・・・そっちかーい!
奥さんにダメ出しされんの、わかる。
・犬
ドリフっぽい。此れが昭和か。
こういうすっぱらかんとした明るい作品もあるんだな。
・蝶
切ない。
好きで田舎から出てきたんじゃないんだろうな、馴染めなかったんだろうな・・・と哀しくなる。
・できすぎた子
なるほど。
順応し過ぎるというのも「できすぎ」なんだな。
・酔えば戦場
つれえな。其れでも飲まずにおれんのか・・・。
周りは巻き込まれる代わりに無傷って事かな。
・交替の季節
此の微妙なずれ方が怖い。
・その夜
読んでて一番ヒリヒリした。
皮膚感覚をも刺激する表現、というのもあるけど世界の終わり方が。
あれよあれよという間に終わってしまうのも厭だけど、じわじわと「待つ」のも厭だな。
とはいえ浩とかず子はハッピーエンドなのかもしれない。一緒に生き抜いたのだから。

どうでもいいニュース:
一度でいいから新幹線の食堂車でご飯食べてみたかった。
食堂車には縁が無かった。。。