社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

掃除婦のための手引き書

連休中毎日9時間(昼寝含む)寝たらスッキリするわー。
と言いたかったが、其の後ダウンしてしまった。

「掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集」(ルシア・ベルリン・著、岸本佐知子・訳/講談社文庫)読んだ。

表紙が気になっていた、そして訳が岸本さん。
エッセイ、小説と読んで、「次は本職の翻訳読みたい」と思っていたのだった。
目次ぼーっと眺めてたら「今を楽しめ」。
「カルペ・ディエム」ってルビ振ってあるぞい!そい!

観光・ビジネスとは全く違う、都会ではないもっと郊外、“地元”のアメリカに暮らす女性の物語。
暮らしっぷりも治安もあんまり良さそうじゃない。
鬱屈しそう、かといって妙に明るく生き生きしてる訳でもないし諦めがある訳でもない。
鮮やかだけど明るいだけじゃない。
でも読んでてしんどくないのは何故だろう。
何人かの女性が主人公なんだろうけど、其其の話にも繋がりあるのかな?と思ったら、作者御自身の「実人生に材をとっている」のだそうだ。
其の人生自体が既にドラマチックというか波乱万丈というか凄まじい。
此処に描かれているのは、一人の人生から描かれた複数の、交錯する人生なのだ。
生きてきた証を長く残す為に物語に認めたのだろうか。
一つ一つの物語を味わうも良し、此の短篇集を一つの物語として味わうも良し。
自分は後者。

読む側は丹念に描かれた他人の人生を見ている気分、そういう目線は下世話なんだけど、案外面白い。
こういう小説もあるんやなぁ。
あんまり文章がまどろっこしくないのが助かった。
(同時進行で読んでる洋モノがまどろっこしくてかったるくて苦戦してるもので・・・)