社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

ベストSF2022

9mmのライブや新譜の話いっぱい書いたから、おだし見に来た方もついで見ていってくださーい!
・・・と言いたいが書いてる本人がバカテンションで訳わかめなのでどうしようもない。

「ベストSF2022」(大森望・編/竹書房文庫)読んだ。

津原泰水「カタル、ハナル、キユ」、鈴木一平+山本浩貴(いぬのせなか座)「無断と土」が既読。
酉島伝法「もふとん」が読みたくて。
待てばいずれ短編集が出るかもしれない、でも出ないかもしれない。
兎に角もふとんもふとん。
そして読み終わったら伴名練「百年文通」が凄くて。エモくて。
そんな「もふとん」「百年文通」を同時に読めるのは「ベストSF2022」だけ!
此の為に買って読むがよろし。
当然、此の2作以外に面白い話もあるから。
「無断と土」のページ跨ぐやつが跨がなくなってたらよかったのになぁ。。。
敢えてそうしてあるんだろうけど、ウムウ。
扉絵が少しずつずれていってるのは意味あるんだろうか。
以下気になった作品等。
ネタバレあるかも。





・もふとん/酉島伝法
健康に悪そうな世界の”膚団(ふとん)”というもふもふ生物の話。
自分も、もふとんに包まれて眠りたい。
餌は所謂睡魔だったのだろうか。
「もふとん」時代からの「るん(笑)」だったら怖い。
しかし酉島さんの「ノンレム睡眠のない睡眠障害」て凄いな・・・。
・或るチュパカブラ/吉羽善
ガチでチュパカブラが出てくる話。
何故酒蔵でチュパカブラ
というのはさておき、兎に角おもろい。
展開が面白い上にテンポが良いのだ。
・神の豚/溝渕久美子
新型インフルエンザ対策で全ての家畜が消え、豚飼ってるの見つかったらヤバい台湾で、お兄ちゃんが豚になっちゃった!という話。
お兄ちゃんというか、豚さん大丈夫?・・・って心配になるけど、あっけないのだけど、ちょっと和む。
・絶笑世界/十三不塔
二度目に観て笑い始めたら笑い死にするまで爆笑し続ける呪いみたいな病気が蔓延する世界を救う、笑いを殺すコメディアンの話。
序盤、地味にテンポ良くないのは、彼らの面白くなさを表現しているのだろうか。
真剣に笑わせようとしてるのにスベる事を求められるというのも、コメディアンとしては切ないな。
読後はすっきりする。
どっかのディストピアSF特集みたいなとこに載る筈やったんかな。
埋もれずに拾われて、最終的に「ベストSF2022」に収録されて良かった。
・百年文通/伴名練
とあるお屋敷の机の引き出しを使って、百年の時を超えて文通を行う少女の話。
或いは伝染病という未来を回避しようとする話、はたまた二組の姉妹の物語。
不幸にはならないと思っていたが、あの最後の怒涛の展開は。
伴名さん、希望の持たせ方上手いよなぁ。
何が起こっても上手く希望持って終わらせる、でも嘘くさくない。
(だから途中イチルの境遇に”主人公が不憫で読めない”病の発作起こしかけたが読み切れた)
最後の下りで何故か涙腺決壊した。
リアタイで少しずつ読めた人は幸いである、そして一気読み出来た人も幸いである。

ところで津原さん入院・闘病中って、まじか。
お大事になさってください。