社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

言壺

スーパーの「お客様の声」に「換気で十分、マスク着用呼びかけるな!」という趣旨の投書があった。
やや破綻気味で異様に長くて怖かった。
なんであのテの人らは高圧的で感情的な文章書くんだろう。
逆効果な気がする。

「言壺」(神林長平ハヤカワ文庫JA)読んだ。

万能著述支援用マシン”ワーカム”と書き手の物語。
ワーカムは家電・インターネット端末っぽくて便利そう、だがワーカムが理解できない文章は自動修正したり支援拒否したり、入力拒否までしちゃうから書き残らない世界。
・・・という「綺文」から始まる。
以降、”ワーコン””サイメディック”等と名前を変えながら、言葉を取り扱うデバイスと書き手・読み手を巡る物語・文が続く。
言葉を見つめ、扱い、闘ってきた人の描く言葉で綴られた「言壺」の各文、神林さんの小説論なのかもしれない。

此れが1994年に出た作品って・・・まじか。
微妙に用語で時代感じる程度、Web小説的なやつも、作品を書籍として出せないのもここ数年っぽい。
受け手が話に参加出来るニューロベルスは実現してたら面白そうだ。

印象に残った話、部分。
・綺文
「現代文明を壊す文章」とは。
案外シンプルな文章なのかもしれない。ワーカムが阻止するけど。
言葉が現実を構築する・・・んだけど、壊れるのそっちかよ!
・似負文
なんか説明しづらい話、「言葉は自走する、書き手は制御しながら書く」というのは解った。
・被援文
面白さは、人間の頭の中で生じるもの・・・成程。
「この世に神秘的な存在があるとしたら、そう感じさせる唯一のものは、言葉、ただそれだけなのだ。」(p.125)
其の”言葉”が自走してあっちゃこっちゃ行ってるのが「言壺」の物語達だと思うのだが、書き手が制御して面白さを留めて読み手に繋げるのも”言葉”。
・栽培文
ワーカム使ってできた作品?と一瞬思った。
・乱文
・・・からの「碑文」わろた。

勝ってよかった。
でないと暴走しっぱなしで、自分は「言壺」を読めなかった。認識出来なかった。
理解出来た・・・とは言えないけども。

そして「解説文」by 円城塔
此れ程の適任者無さそう。

で、「言壺」による考察を踏まえ、2つ以上の震災を越え、伊藤計劃を通して描かれた物語、フィクションとは・・・の問いが「いま集合的無意識を、」なのかな。
(再読してた)