社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

老人の美学

垂水の商店街に文進堂書店という本屋があった。
此の本屋、筒井康隆の新刊が出たら必ずサイン本があり、筒井さんがお散歩で立ち寄った際にご本人の本を買っておればサインを頂けるという噂もあった。
新聞部の文化祭展示に「筒井先生の貴重なサイン本!」って展示してあったけど、あの本屋で普通に買えるんちゃうん?と思って眺めていた。
実際は直ぐ売れちゃってたと思う。とはいえレジ前に「サイン本あります」って書かれてたのは見た事あるような。
通学の行き帰りにぬるぬる店の前を通っては買ったり立ち読みしたり、ドキドキしながら筒井さんの本買ったり。
今思うと何で当時サイン本買わなかったんだろう、買っておれば人生変わってたかもしれない。(果たしてそうかな?)
現在は”ふっつーのまちの本屋さん”のようでSF・ミステリの品揃えのコアさでお馴染みの流泉書房にサイン本が入るようである。
色々思う所*1あって、ツイで「入りましたよ」と告知された際に「今だ!」とポチったのだった。

「老人の美学」(筒井康隆新潮新書)読んだ。

御自身の作品に書かれている老人や実体験を挙げながら、”抑制の美”について語られている。
欲望を我慢するだけじゃなく、上手く飼い馴らして楽しみに替えたりする・・・其れを”ずるさ”と仰られているが。
老人だけじゃなく、中年だってもっと若いのだって必要な事だ、だが年を取り、退職すると暇だったり昔の事を思い出したりして不安になってくると抑制が効かなくなって、つい手や口を出したりしちゃうようである。
其処までは書かれてないが、脳の機能が衰えて抑えられなくなっちゃうってのもあるのかもしんないなーと思いながら読んでいた。
我儘・頑固・怒りっぽさは無理のない程度に小出しにし、瞬発的に出ちゃった場合は自戒を含めてユーモアとして誤魔化す。
そして立ち居振る舞いを美しく。
書かれている事は筒井さんの小説ほどぶっ飛んでない。
でも改めて”美学”として解りやすく明るく面白く説明されると「なるほどな」と思う。
冒頭で紹介されている森毅さんの「人生忠臣蔵」説、面白い。
自分の年齢は一番華やかな時期にあたるようだが、まだまだこれからである。

オトンとオカンに読ませようかと思ったが、今其れ処じゃないからな・・・スマホ格闘中。

其れにしても、読んでるうちに「敵」「富豪刑事」読みたくなった。
また流泉に買いに行くか。

*1:ここんとこインタビューを読む機会が続いたのだが、ちょっとずつ”仕舞い”に掛かっておられるように感じられて「何時までもあると思うな親と金とバンドとライブハウスと筒井康隆」と思ってしまったのだった