社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

開化鉄道探偵

今日ちょっと寒いよなぁ、と家を出てから気づいた。
上着とっかえる余裕なくてそのまま出社したが、そういう日に限ってバスがめたくそ遅れるという。。。

「開化鉄道探偵」(山本巧次/創元推理文庫)読んだ。

開化鉄道探偵 (創元推理文庫)

開化鉄道探偵 (創元推理文庫)

  • 作者:山本巧次
  • 発売日: 2021/02/12
  • メディア: 文庫
イヤッホーウ!キタよ文庫化!
明治の日本の産業を興す為に此れから鉄道を建設していくよ・・・という時代の物語。
鉄道が普及する事で国内の物流が豊かになり、産業も盛んにしていこう、って訳。
そして外国人の手を借りずに日本人だけで、と京都-大津間に線路を敷き逢坂山トンネルを掘っているが測量が狂ったり事故があったりと不審な事件が続く。
鉄道局局長の依頼で元八丁堀同心と鉄道局技手見習いが現地へ向かった所、殺人事件が起きる・・・という話。
生野銀山の坑夫が派遣されてるんだ、と思ったら、「掘る」事に長けている人達だからだ。
線路工夫とはあまり仲良くなさそうである。
鉄道が普及する事で仕事無くなる人達もある、なので快く思ってない、反対する人達もいる。
時代が時代なんで薩長の確執もありそう。ついでに警察なんかやる気無さげ。

ややネタバレあり。



ちゃんとミステリ。
トリッキーな「そんなアホな」なややこしい事も無く、ちゃんと探偵役が謎解いて助手が振り回されつつ謎解きのヒントを何気なく話してて。
誰が犯人でもおかしくなさそう、でも順順に追っていくと解ける。
そして悪い奴がちゃんと悪い。
捕まえきれなかった奴らは、此れから自分達の仕事で見返してやりましょう、という。
(あとがきで高速鉄道車両の輸出について書かれているのは、そういう事かと←あとがきを先に読んだ)
”鉄”分も多めだが、好きな人は其処でヒャッハー!だし、そんなに興味無くても楽しめるんじゃないだろうか。
ゴリッゴリのミステリ読みたい人は物足りないのかもしれないが、自分は謎解きと鉄道建設あれこれ部分とのバランスが良かったと思う。
少なくとも「パターン的に犯人こいつでしょ・・・ああやっぱり(落胆)」ではなかった。
そっちかー!そうきたかー!って感じだった。

ガチミステリやなと思ったら最後に涙腺やられた。
カートライト、めっちゃいい人。
厠がどうのこうのと文句付けてるのも、もしかしたら「線路敷けばいいってもんじゃない、駅もちゃんと整えなさい」という、日本の鉄道を良いものにして欲しい気持ち、優しさだったのかもなー。
どの登場人物も魅力的なんだけど、個人的に井上局長好きだ。
偉いさんやけど、身軽に現場に出て工夫達と一緒に働いたりする。現場好きなんやなぁ。
そういう姿がキュートで。
実在の人物なのだそうだ。

どうでもいいニュース:
この時に作られたのが「赤信号が長い」事で有名なトンネル?と思ったら、その次の柳ケ瀬トンネルの方だった。